研究課題
研究活動スタート支援
脂質の過剰摂取は肥満を誘導するが、そのメカニズムは詳細には分かっていない。本研究では、脂肪酸の中でも炎症惹起性メディエーターの合成基質となるリノール酸に着目して、体重変化ならびに視床下部への影響を検討した。リノール酸含有率が高い高リノール酸餌をマウスに給餌したところ、低リノール酸餌と比べ、体重の増加傾向を認めた。また、高リノール酸餌給により、視床下部局所でのプロスタグランジンE2含量が増加し、視床下部での炎症マーカーの遺伝子発現も増加した。
肥満
n-6系脂肪酸の過剰摂取が、視床下部でのリピドーム(脂質組成)の変化や局所炎症を惹起し、肥満を誘導するメカニズムの一端を解明した。本研究の成果は、イムノメタボリズ研究の領域において、重要な知見を与えるものである。また、臨床現場での食事指導や、脂質摂取制限の是非について、重要な示唆を与えるものと考えられる。さらには、視床下部でのリピドームの変化や局所炎症をターゲットとした、全く新しい肥満治療の開発につながる可能性がある。