インフルエンザウィルスの表面抗原ヘマグルチニン(HA)の保存された領域(stem領域)は、様々な変異株に効く万能ワクチンの標的になり得る。しかし、stem領域を認識する多くの抗インフルエンザ広域中和抗体は自己反応性をもち、ワクチン開発を困難にしている。本研究では、抗インフルエンザ広域中和抗体に結合する12アミノ酸からなる環状ペプチドとキャリアタンパク質を均一な配向性で架橋した人工抗原により、マウスにおいて抗原特異的な抗体産出とインフルエンザウィルスに対する中和活性が誘導できることを明らかにした。誘導された抗体の自己反応性について、今後引き続き詳しく分析する予定である。
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