研究課題/領域番号 |
22K20934
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
三瓶 想 東北大学, 大学病院, 非常勤講師 (60966646)
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研究期間 (年度) |
2022-08-31 – 2024-03-31
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キーワード | 血管内皮グリコカリックス / 敗血症 / 糖尿病 / 高サイトカイン血症 |
研究実績の概要 |
感染症や生活習慣病などの病態として、微小循環障害が注目されている。微小循環を維持する血管は内皮細胞により支持され、その内腔側表面をグリコカリックスと呼ばれる糖タンパクの複合体によって覆われ保護されている。血管内皮グリコカリックスは多彩な機能を有し微小循環の恒常性を保つが、その構造は脆弱で容易に傷害され、様々な疾患や病態に影響を与える可能性がある。 糖尿病と敗血症はともに血管内皮障害を有し、敗血症に最も多い併存症は糖尿病とされる。糖尿病患者は感染症に罹患すると重症化し死亡率が高い。しかしその機序は解明されておらず、重症化予防の治療法も確立されていない。本研究では血管内皮細胞に注目し、糖尿病モデルマウスを用いて感染時の重症化機序の解明を行う。 申請者はこれまでの研究で、糖尿病モデルマウスにおいて血管内皮グリコカリックスが慢性的に菲薄化、即ち物理的バリアが減弱しており、さらにLipopolysaccharide ( LPS ) を用いた全身性炎症誘導モデルで肺傷害および生存率が悪化し、血清IL-1βが高値遷延することを示した。しかし、IL-1βを産生する細胞やその産生機序は明らかになっていない。本研究では、「糖尿病モデルマウスでは、傷害されやすい状態にある血管内皮細胞が感染時にpyroptosis(炎症性惹起物質を放出するプログラムされた細胞死)を起こし、IL-1βを放出することが臓器障害および生存率悪化に繋がる」と仮説をおき、これを証明する。 本年度は予備実験として対照群の野生型マウスを購入し、LPSのLotが切り替わったことから投与量と生存率の確認を検討した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
動物実験の申請書が通るのに時間を要し、さらに実験設備の導入に際し想定以上に時間がかかったため。
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今後の研究の推進方策 |
実験設備が整ったので、糖尿病モデルマウスと野生型マウスについて、LPSを投与した全身性炎症モデルを用いて、IL-1βの感染症重症化への関与について検討を行う。具体的には①IL-1β受容体拮抗薬投与による生存率の変化、②蛍光二重免疫染色によるIL-1β産生細胞の同定、③蛍光多重染色によるpyroptosisを起こした細胞の同定を予定している。
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次年度使用額が生じた理由 |
実験の進行が遅れており、実験モデルの購入やIL-1β受容体抗体薬や蛍光免疫染色などに必要となる試薬などの購入が必要なため。
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