研究課題/領域番号 |
22K20938
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
的羽 大二朗 大阪大学, 医学部附属病院, 医員 (80966549)
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研究期間 (年度) |
2022-08-31 – 2024-03-31
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キーワード | 臓器移植 / 再生医療 |
研究実績の概要 |
本邦の肝・膵移植医療における脳死臓器提供者数は年間約50例と諸外国に比して極めて少なく、絶対的なドナー不足が現在も問題となっており、それに代わる再生医療や組織移植の開発に期待が寄せられている。近年、組織移植や臓器再生の試みが盛んに行われているが、個々の細胞レベルでの組織移植では、その機能は限定的であり、かつ長期生着を得ることは困難である。そこで我々は、 立体的組織構築を行うことで、形態的な安定性を維持し、機能向上を図ることに着眼した。細胞外マトリックスによる細胞積層技術(layer-by- layer法: LbL法)を用いて、ヒト凍結初代肝細胞からなる機能的血管化三次元肝組織やMIN6 β細胞を用いた三次元膵組織を構築し、既存の二次元組織と比較し、機能的・形態的にも有用であることをマウス生体内においても確認し、報告してきた。しかし、その一方で、臨床 応用に向けては、1)安全な細胞ソースの確保 2)生体内での至適移植部位の同定 3) 三次元肝組織における胆管組織構築 4)長期生着に向けた膵組織グラフトの血管化が新たな課題としてあげられ、これらの克服に向けた、更なる研究開発を行い、ドナー不足にとらわれない次世代の移植・再生医療の実現を目指すことを目的としている。 今回の研究ではヒトiPSC由来β細胞を使用し、LbL法 により、三次元化した細胞集塊の内部に網細血管を組み込むことで、組織のviabilityの向上を得ることに成功した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今回の研究ではヒトiPSC由来β細胞を使用し、LbL法 により、三次元化した細胞集塊の内部に網細血管を組み込むことで、組織のviabilityの向上を得ることに成功した。インスリン分泌能などの機能評価を引き続き行っていく予定である。
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今後の研究の推進方策 |
引き続き、血管化組織の機能評価を行っていく。また、肝細胞での血管化組織の作成も検討する。 また、in vivo実験で、血管化組織を糖尿病化免疫不全マウスへ皮下移植し、その機能を評価する。
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次年度使用額が生じた理由 |
三次元構築に用いる細胞ソースは市販のヒトiPS由来β細胞を用いて行った。使用計画としては、抗体、細胞培養試薬ならびに in vivoでの評価のため、実験用マウスの購入などに使用する予定である。
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