薬剤の胎盤通過性に関しては明らかになっていない部分が多く、実際に妊婦への薬剤投与を行って通過性を検証することは倫理的な観点から難しい。本研究は胎盤を通過しやすい物質の特性に注目し、高分子ナノミセルを用いて胎盤通過性の高い物質が有する、「サイズの小ささ」と「脂溶性の高さ」を転換し、「サイズが大きく」「水溶性」の薬剤を生成した。本研究はPEGを用いたミセルがサイズ依存性に胎盤通過性が制御されることを示し、そのサイズカットオフを明らかにするとともに、実際にインドメタシンミセルを作成し、インドメタシンと比べてヒト胎盤灌流モデルにおいて胎盤通過性を制御することに成功した最初の研究である。
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