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2023 年度 実施状況報告書

加齢黄斑変性の新規治療法開発に向けた眼内環境評価と網膜形態評価

研究課題

研究課題/領域番号 22K20958
研究機関名古屋大学

研究代表者

佐治木 愛  名古屋大学, 大学院医学系研究科, 助教 (50955672)

研究期間 (年度) 2022-08-31 – 2025-03-31
キーワード加齢黄斑変性 / ぶどう膜炎 / 長鎖シークエンサー / メタゲノム解析 / トルクテノウイルス
研究実績の概要

眼疾患患者の眼内液の長鎖シークエンスによるメタゲノム解析を行う過程で、感染性が疑われるぶどう膜炎患者の眼内液からトルクテノウイルス(TTV)のDNAが検出された。TTVは、一般集団において血液中での高い検出率やさまざまな組織での存在が報告されているが病原性不明のウイルスである。近年は免疫抑制剤で治療された患者の血清中での検出の増加などが報告され、免疫機能のバイオマーカーとして注目されている。今回の我々の検討では、白内障や加齢黄斑変性の眼内液からは検出されなかった。サイトメガロウイルス(CMV)網膜炎、虹彩毛様体炎、急性網膜壊死、エプスタインバーウイルス陽性ぶどう膜炎患者のそれぞれ43%、8%、14%、50%で眼内液のTTVが陽性だった。また、糖尿病やステロイド内服、悪性腫瘍、HIVなどの全身の免疫状態の低下が考えられる患者の眼内液で多く検出され、統計解析の結果、眼内液のTTV検出と、これらの免疫に関与する状態との間に関連があることが明らかになった。また、一般的に免疫不全と関連すると言われているCMV網膜炎の眼内液でのTTVの検出率は対照よりも有意に高かった。これらの結果から、感染性が疑われるぶどう膜炎患者と、全身の免疫能が低下していると思われるぶどう膜炎患者において、眼内液のTTV検出率が高いことがわかった。血清の分析では、ぶどう膜炎患者の90%、対照患者の100%でTTV陽性だった。本成果は論文化し、国際学術誌上で発表した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

昨年度は、本研究で行う予定である、網羅的遺伝子解析、微生物特異的な解析、眼内生理活性物質の測定、画像検査のうち、網羅的遺伝子解析と微生物特異的な解析を一部サンプルに対して試行し、ウイルスと臨床情報との関連を発見し、論文化することができた。加齢黄斑変性のサンプルの収集が当初の予定より遅れているため、次年度に解析予定とした。

今後の研究の推進方策

次年度は、加齢黄斑変性の眼内液の網羅的遺伝子解析を行い、検出された微生物を特定し、生理活性物質を含む眼内環境や網膜形状との関連を調べ、加齢黄斑変性の病態の新たな知見を得ることを目指す。

次年度使用額が生じた理由

サンプル収集が当初の予定より遅れシークエンス等の解析を次年度に予定したため次年度使用額が生じた。次年度、追加されたサンプルのゲノム精製、シークエンスを行う予定である。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2023

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件)

  • [雑誌論文] Association Between Torque Teno Virus and Systemic Immunodeficiency in Patients With Uveitis With a Suspected Infectious Etiology2023

    • 著者名/発表者名
      Sajiki Ai Fujita、Koyanagi Yoshito、Ushida Hiroaki、Kawano Kenichi、Fujita Kosuke、Okuda Daishi、Kawabe Mitsuki、Yamada Kazuhisa、Suzumura Ayana、Kachi Shu、Kaneko Hiroki、Komatsu Hiroyuki、Usui Yoshihiko、Goto Hiroshi、Nishiguchi Koji M.
    • 雑誌名

      American Journal of Ophthalmology

      巻: 254 ページ: 80~86

    • DOI

      10.1016/j.ajo.2023.06.012

    • 査読あり

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公開日: 2024-12-25  

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