研究課題
計画通り、骨折修復における老化細胞を評価するため骨折モデルを作成した。トランスジェニックマウスでの検討の前に、ラットを用いて骨折修復における老化細胞の挙動を確認した。特に偽関節の病態にも、老化細胞蓄積が関与していると仮定し、実臨床の経過を模したラット偽関節モデルを用いて、偽関節への細胞老化の関与を検証した。また、mTOR経路への阻害作用を有する骨再生薬を使用し、偽関節修復への抗老化作用の影響の評価を行った。【方法】ラット大腿骨偽関節モデルと通常癒合群を作成し、術後最大5週後まで、各週数でμCT、蛍光免疫染色、qPCRによる評価を行った。また、前述のモデルに対して偽関節治療を行うモデルを作成し、BMP-2とmTOR経路への阻害作用を有する骨再生薬を使用し、μCT、蛍光免疫染色を用いて、再生骨内の老化細胞の残存を比較した。【結果】ラット大腿骨偽関節モデルでは、偽関節部に一致した老化細胞の多数の集積を認めた。BMP-2で治療した偽関節では、既報と同様に脂肪髄で骨質の悪い骨の形成を認めたのに加えて、骨再生部に老化細胞の蓄積を認めた。一方で、抗mTOR作用を有する薬剤の使用では、新生骨内の老化細胞は大きく減少し骨形成の増加を認めた。また、形成された骨は密度が高く、脂肪髄は認めなかった。偽関節治療における老化細胞除去の有効性が示唆される結果であった。実臨床においても、抗老化薬が偽関節における老化細胞を減少させ、より良い治療法となる可能性がある。
3: やや遅れている
トランスジェニックマウスの導入の遅延
トランスジェニックマウスを導入し、老化細胞の機能や挙動を明らかとしていく。
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