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2022 年度 実施状況報告書

中枢神経系原発悪性リンパ腫の治療抵抗性獲得機構の解明と新規治療法の同定

研究課題

研究課題/領域番号 22K20971
研究機関名古屋大学

研究代表者

前田 紗知  名古屋大学, 医学系研究科, 研究員 (20962905)

研究期間 (年度) 2022-08-31 – 2024-03-31
キーワード中枢神経系原発悪性リンパ腫 / 治療抵抗性
研究実績の概要

本研究では、中枢神経系原発悪性リンパ腫(PCNSL)の治療抵抗性獲得機構に寄与する分子メカニズムを解明するために、CRISPR/Cas9遺伝子改変技術を用いたゲノムワイドノックアウトスクリーニングを行った。スクリーニングの結果、治療抵抗性を規定する候補として176の遺伝子が、治療感受性を規定する候補として105の遺伝子が絞られた。今後、同定された遺伝子に関して、RNA干渉による遺伝子サイレンシング実験を実施予定である。
また手術で切除した腫瘍組織を用いて、2例のPCNSLオルガノイド樹立を行なった。Engelbreth-Holm-Swarm(EHS)マウス肉腫を原料とする可溶性基底膜成分であるマトリゲルを用いた培養と、振とう培養の2通りの培養方法で比較検討を行なった。作製したオルガノイド株が元の腫瘍検体の性質を再現しているかを確認するために、培養したPCNSLオルガノイドをパラフィンに包埋し切り出し、ヘマトキシリン&エオジン染色を行った。また遺伝学的特徴についても検討するために、PCNSLオルガノイドと腫瘍組織のそれぞれからDNAを抽出し、サンガーシークエンスによるMYD88・CD79B変異の有無を確認した。現在、さらに症例数を増やし、より最適であるオルガノイド培養条件の検討を行なっている。
作製したオルガノイドについては、一定期間培養後に裁断し、液体窒素内での長期保存および再培養の検討を行なっている。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

十分な中枢神経原発悪性リンパ腫の手術検体が得られず、PCNSLオルガノイド作成に若干の遅れが出ているため。

今後の研究の推進方策

PCNSLの有用な実験モデルとなるオルガノイドモデルを樹立すべく、最適な培養条件を検討する。現在、Engelbreth-Holm-Swarm(EHS)マウス肉腫を原料とする可溶性基底膜成分であるマトリゲルを用いた培養と、振とう培養の2通りの培養方法で比較検討を行なっている。
さらに治療抵抗性を獲得したPCNSLの寛解に繋がる治療法に繋げるべく、スクリーニングで同定した治療抵抗性規定遺伝子について詳細な検討を行う。具体的には、siRNAを用いた遺伝子サイレンシング実験により、スクリーニング結果のバリデーションを行う。PCNSLに対する治療薬のひとつであるチラブルチニブとの併用実験を行い、より効果的な薬剤併用効果を示す標的因子を同定する。

次年度使用額が生じた理由

当科における手術予定および検体採取状況により、中枢神経系原発悪性リンパ腫症例の手術検体を用いたオルガノイドモデル作成が当初の予定よりも遅れているため、次年度への繰越額が発生した。次年度は本年度に引き続き、中枢神経系原発悪性リンパ腫の患者由来のオルガノイドモデルの作成を進め、元となる腫瘍の性質をどれほどまで再現できているかの確認を行う。同時にCRISPR Cas9ノックアウトシステムを用いたスクリーニング、それに伴う次世代シークエンス解析を、複数症例において行う予定である。解析の結果より、中枢神経系原発悪性リンパ腫の治療抵抗性獲得の原因となる遺伝子変異の探索を行い、同定された遺伝子もしくは経路を標的とした分子標的薬と従来の治療薬との併用実験を行う。薬剤併用効果をcombination index(CI値)を算出することで検討する。

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公開日: 2023-12-25  

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