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2023 年度 実施状況報告書

PPARαアゴニストによる神経保護効果と分子制御機構の解明

研究課題

研究課題/領域番号 22K20981
研究機関聖マリアンナ医科大学

研究代表者

藤田 直輝  聖マリアンナ医科大学, 医学部, 助教 (40963707)

研究期間 (年度) 2022-08-31 – 2025-03-31
キーワード神経保護 / ペマフィブラート / PPARαアゴニスト / 網膜神経節細胞
研究実績の概要

本研究ではPPARαアゴニストの網膜神経節細胞および視神経軸索障害に対する抑制効果の分子機構の解明を目的としている。
現在わが国での中途失明の原因は緑内障と糖尿病網膜症を合わせると約半数を占め、いずれも網膜神経節細胞死を生じる。既存の治療法では症状の進行抑制に限界があり、細胞死を抑制する新たな治療法の開発が求められている。
これまでに研究代表者は網膜神経節細胞障害モデルラットに対して選択的PPARαアゴニストであるペマフィブラートの内服が抗アポトーシス効果を示すことを発見している。糖尿病網膜症や緑内障でも障害される網膜神経節細胞に対するアポトーシス抑制は今後の神経保護治療開発への糸口となり得る。加えてペマフィブラートは他のフィブラート系の薬剤と異なり肝排泄であるため糖尿病患者で合併が懸念される腎機能障害患者への投与も行いやすい。
これまでの研究ではペマフィブラートによって転写因子c-Junのリン酸化が抑制されていることが分かっている。c-Junは細胞外から核内へのシグナル伝達経路であるMAPK経路の一つであるJNK経路に属しており様々なストレス反応でリン酸化され細胞死への誘導に関与している。この経路での詳細な分子機構の解明を現在進めている。
今回の研究において、現在までに視神経軸索障害モデルである高眼圧モデルラットでの視神経軸索数の減少がペマフィブラート内服によって有意に抑制されることが確認できた。今回の実験では網膜神経節細胞障害モデルと異なり神経軸索自体への影響を調べており、分子機構もc-JunをはじめとしたMAPK経路以外での変化もないか様々な分子機構への影響に関して現在機序解明を進めている。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

分子制御機構において一貫した傾向は認められるものの、明確な有意差を持った結果を得られていない。アポトーシスに関わる分子機構が多岐にわたるため当初想定していた機序以外の要因も推定される。
加えて高眼圧群の作成に時間がかかること、1個体から得られるサンプル量が少ないこともあり未だ明確な分子機構の解明は至っていない。
現在は分子制御機構に関するある因子の上流・下流の分子の動きを確認し、また再現性を確認している。

今後の研究の推進方策

現在は高眼圧モデルラットでの対照群と比較した視神経および網膜における特定の分子の変化を調べ、またその上流・下流に位置する分子の動きも確認している。
今後は対応する分子についてサンプル数の最適化を行い有意差の評価を行う。また、再現性の評価も行っていく。
加えて免疫学的染色を行い特定の分子の組織内での局在を調べていく。

次年度使用額が生じた理由

研究室の現有する抗体を用いた実験が多く新規抗体を使用する頻度が少なかったため。
今後はウエスタンブロットでPPARαおよびMAPK経路の抗体、その他アポトーシス経路内の分子の変化を新規抗体を用いて評価していく。
また網膜神経節細胞自体のアポトーシスを評価するために高眼圧モデル以外に急性の障害モデルを用いて中脳上丘からの逆行性細胞染色や免疫染色での細胞数への保護効果をPPARαアゴニスト内服群にて評価する。
ペマフィブラート以外のPPARαアゴニストも使用して同様に評価していく。

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公開日: 2024-12-25  

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