研究課題
歯根短小症(Short root anomaly: SRA)は、歯根長が歯冠長に対して相対的に短くなる歯の形態異常であり、矯正歯科治療における歯根吸収のリスクファクターになり得る。SRA発症について、明確な発症メカニズムは明らかではない。そこで本研究は、SRA発症に関わる遺伝要因とその発症メカニズムの検討を行うために、SRA発症者のエクソーム解析および疾患組織の細胞を用いたシングルセルRNAseq(トランスクリプトーム)解析により、SRA発症に関わる因子ならびに病態メカニズム解明を行うことを目的とした。2015年から2018年までに当科を受診した433名において、初診時のパノラマX線写真より歯根歯冠比の測定を行った。その基準をもとに、極端な表現型と診断された症例のDNAについて全エクソーム解析を行っている。現在解析結果をもとに候補遺伝子について検討をしている。また、併行して歯根膜細胞や歯髄細胞の採取を行っている。
3: やや遅れている
東京医科歯科大学矯正歯科外来にて、SRA患者からサンプル採取を行い、DNA抽出、精製および歯髄細胞・歯根膜細胞の培養を行ってきた。その後DNAについて全エクソーム解析をおこなっているが、候補遺伝子の絞り込みに計画より時間を要している。今後もサンプル数を増やしながら解析を進めていく。
現在おこなっているデータの解析を進めながら、SRA発症患者の臨床情報、遺伝情報のデータベースを作成するとともに、発症に関わる遺伝子および1細胞ごとの遺伝子発現量、細胞間相互作用の情報から病態や発症メカニズム解明を行っていく。
今年度は評価対象の全症例に対する解析が行えなず、一部の試料のみのデータ取得解析を行った。次年度に未施行の症例に対して次世代シーケンサーにてデータ解析を行っていく予定である。また、データ解析に必要な機材や学会発表及び論文執筆のために使用していく。
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