本研究ではタイトジャンクション構成タンパク質に焦点を当て,喫煙がヒト歯肉上皮細胞のバリア機能に与える影響を調べた.その結果,紙たばこから作成したタバコ抽出液が細胞接着分子のひとつである junctional adhesion molecule 1(JAM1)の局在を細胞膜上から細胞質内へ移行させ,異物透過性を亢進させることを確認した.また,喫煙者の患者より採取したヒト歯周組織サンプルでは,細胞膜上に局在する JAM1 が非喫煙者と比較して減少していた.これらの結果より,喫煙は歯肉上皮に発現する JAM1 の局在移行を惹起し,歯肉上皮バリアを破綻させることが示唆された.
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