研究課題/領域番号 |
22K21005
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研究機関 | 福岡歯科大学 |
研究代表者 |
前芝 宗尚 福岡歯科大学, 口腔歯学部, 助教 (90964338)
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研究期間 (年度) |
2022-08-31 – 2024-03-31
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キーワード | アルツハイマー型認知症 / 口腔粘膜 / 義歯装着 / 咬合感覚入力 |
研究実績の概要 |
【目的】近年、歯の喪失により口腔機能の低下,社会性の低下,口腔保健のQOLの低下などに関与していると共に、認知能が低下することが報告されている。しかしながら、義歯の使用による咬合支持により認知症の発症リスクを軽減できる可能があるという報告はあるのもの、未だこの機序を含めて明確な医学的実証を示すまでに至っていない。そこで、アルツハイマー型認知症モデルマウスを用い、歯の喪失後の咬合支持回復と認知能維持の相関を明確することを目的とした。 【方法】2ヶ月齢、軽度認知障害(MCI)とされる4ヶ月齢及び既にアルツハイマー型認知症とみなされる6ヶ月齢のアルツハ イ マ ー 型 認 知 症 (AD)モ デ ル マ ウ スを用いた。上記モデルマウスを、コントロール群、2ヶ月齢で抜歯した群、抜歯後咬合支持回復1ヶ月群の3群に分け、脳切片を用いてアルツハイマー型認知症関連分子の発現変化と局在について評価を行った。 【結果】、ADモデルマウスの抜歯後の三叉神経中脳路核でのAD関連分子の発現について調べたところ、2, 4, 6ヶ月どの月齢においても抜歯後に三叉神経中脳路核及び近傍の青班核でのAmyloid-betaやリン酸化Tauの発現は認められなかった。しかしながら、6ヶ月齢ADマウスの抜歯一ヶ月後に海馬CA3領域に局在してリン酸化Tauの発現が有意に認められた。しかしながら、Amyloid-betaの凝集は認められなかった。以上より、抜歯による海馬領域でのリン酸化Tauの発現が認知能と関連する可能性が考えられた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
抜歯モデルが確立でき、免疫染色の結果がある程度明らかになったので、ほぼ予定どうり進行したと考えている。
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今後の研究の推進方策 |
ADモデルマウスの抜歯による認知能への影響について行動学的解析を行う予定である。さらに海馬領域における認知能関連分子の発現変化、認知機能低下関連分子の排泄・分解に働く分子の発現変化をウェスタブロット法、q-PCR法、より解析を行う予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究成果を報告するにあたり、日本補綴歯科学会や、日本老年歯科医学会、日本認知症学会にて発表及び情報収集を行う予定であったが、実験の進捗で発表まで至らなかった。本年度は、積極的に成果発表を行うための予算が必要になると思われる。
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