研究課題/領域番号 |
22K21009
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研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
星野 剛志 新潟大学, 医歯学総合病院, 医員 (20962830)
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研究期間 (年度) |
2022-08-31 – 2024-03-31
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キーワード | 高齢者 / 歯周病 / Porphyromonas gingivalis / 抗体価 / 高血圧 / 孤立性収縮期高血圧 |
研究実績の概要 |
歯周病と高血圧症はともに有病率の高い生活習慣病である。基礎研究から歯周病の代表的な原因細菌であるPorphyromonas gingivalis (PG)が血管内皮細胞の機能を障害することが報告されており、高血圧症発症への関与が示唆されるが、PG感染と高血圧の関連を検討した疫学研究は乏しい。本研究では、PG感染の指標としての血漿中抗PG抗体価が将来的な高血圧症の予測因子となりうるかどうかを明らかにすることを目指した。 本研究では魚沼コホートのベースライン調査に加えて新たに追加調査を行う予定であったが、新型コロナウイルス流行の影響により追加調査の実施が困難であった。そこで、本年度はベースラインデータの整理・解析を主に行った。 解析対象者は60-79歳の高齢者1942名(男性808名、女性1134名)である。健診結果から収縮期血圧(SBP)および拡張期血圧(DBP)データを収集し、血漿中抗PG抗体価を測定した。その他の項目は、健診および質問紙調査の結果から収集した。SBP≧140mmHgかつDBP≧90mmHgを収縮期・拡張期高血圧(SDH)とし、SBP≧140mmHgかつDBP<90mmHgを孤立性収縮期高血圧(ISH)とした。四分位数をもとに抗PG抗体価を4群に分け、SDHおよびISHとの関連を検討するためにχ二乗検定を用いた。有意水準は5%に設定した。 全対象者のうち、SDH、ISH有病者はそれぞれ174名(9.0%)、466名(24.0%)であった。抗PG抗体価とSDHの間に有意な関連は認められなかった。一方、抗PG抗体価とISHとの間に有意な関連を認め、ISH有病者の割合は抗PG抗体価の下位25%、25-50%、50-75%、上位25%でそれぞれ19.3%、24.5%、26.1%、26.0%であった。以上より、抗PG抗体価とISHとの間に正の関連性があることが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
本研究では、魚沼コホートのベースライン調査に参加した地域在住の高齢者を対象とし、追加の調査を行うことで抗PG抗体価と高血圧の関連性を縦断的に検討する予定であった。しかしながら、新型コロナウイルス流行の影響により当初予定していた追加調査の実施が困難であった。よって、上記の区分に該当すると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
引き続きベースライン調査に参加した高齢者に対し、追加調査の実施を試みる。また、ベースラインデータについてさらなる解析を進め、抗PG抗体価、高血圧、他の要因の間の相互的な関連性について検討する。さらに、得られた結果をもとに国際学会での発表および論文投稿を行っていく。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウイルス流行の影響により当初予定していた追加調査の実施が困難であっため、調査実施に関わる費用を次年度に繰り越した。次年度は、引き続き追加調査の実施を試みるとともに、ベースラインデータについてさらなるデータ解析を進め、国際学会での発表や論文投稿の費用などにも予算を充てる予定である。
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