研究課題/領域番号 |
22K21013
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
廣瀬 匠 大阪大学, 歯学部附属病院, 医員 (60965276)
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研究期間 (年度) |
2022-08-31 – 2024-03-31
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キーワード | 口蓋裂 / 環境因子 / 遺伝因子 / 相互作用 |
研究実績の概要 |
口唇口蓋裂はヒトの顎顔面領域において最も一般的な先天性疾患であり、咀嚼障害や構音障害、審美障害などを伴い患者のQOLを著しく低下させる。口蓋裂は複数の遺伝因子と環境因子との相互作用により閾値を越えることで発症する多因子疾患であると考えられているにもかかわらず、実際に環境因子と遺伝因子の相互作用のメカニズムは明らかになっていない。デキサメタゾン(DEX)はヒトの口蓋裂発症の環境因子である副腎皮質ホルモンの一種である。また、以前の研究によりDEX投与による口蓋裂発症のメカニズムにP63が関与している知見を得ている。そこで今年度環境因子であるDEXと遺伝因子であるp63の相互作用により口蓋裂が引き起こされるメカニズムの解明を目指した。これは単一の遺伝子異常のみでは説明不能であった口蓋裂発症のメカニズムを明らかにし、口蓋裂の新たな診断方法の確立や予防・治療法の開発の糸口となることが期待でき、大きな意義を持つ。 具体的には今回p63 KOマウスでのDEX投与による口蓋裂発症率を調べることを行った。p63の低下とDEX投与には拮抗作用が働くことが予測されていた。In vitroの実験として口蓋突起上皮接触モデルを用いて上皮の消失の確認を行った。結果野生型のマウスと比べてp63 KOマウスではDEX投与時に上皮の消失が起こり、口蓋の癒合がなされる割合が有意に高いことが示された。In vivoの実験として腹腔内投与を行い口蓋裂の有無の確認を行った。結果現在の濃度では野生型とp63 KOマウスにおいて有意な差は認められなかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
In vitroの実験として口蓋突起上皮接触モデルを用いて上皮の消失の確認を行った結果、野生型のマウスと比べてp63 KOマウスではDEX投与時に上皮の消失が起こり、口蓋の癒合がなされる割合が有意に高いことが示された。このことは口蓋裂発症のメカニズムにおいて環境因子と遺伝因子の相互作用が関わっていることを示唆している。
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今後の研究の推進方策 |
In vivoの実験として腹腔内投与を行い口蓋裂の有無の確認を行った結果現在の濃度では野生型とp63 KOマウスにおいて有意な差は認められなかった。DEXの濃度を変更することで有意な差が生じる可能性があるため、今後他の濃度のDEXで腹腔内投与を行い、口蓋裂の有無の確認を行う予定である。 また、DEX投与を行ったp63 KOマウスの口蓋突起上皮をレーザーマイクロダイセクションを用いて採取し、mRNAの抽出を行う。RNA-seqにて網羅的な解析を行い、影響を受けたシグナル因子を絞り込んだ後、定量PCRを行い、確認する予定である。 また、環境因子としてダイオキシンなど、遺伝因子としてEgfrなどを用いて同様の研究を行うことも予定している。
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