口蓋裂は複数の遺伝因子と環境因子との相互作用により閾値を越えることで発症する多因子疾患であると考えられているにもかかわらず、そのメカニズムは明らかになっていない。本研究では口蓋裂の環境因子であるデキサメタゾン(DEX)と遺伝因子であるp63に着目し、相互作用の解明を目的とした。野生型マウスへDEXを投与した場合に対してp63ノックアウトマウスへDEXを投与した場合は口蓋裂の発症率が有意に低いことが明らかとなった。また、葉酸の添加によりDEXによる口蓋突起癒合不全が回復することが明らかとなり、そのメカニズムは葉酸がDEXによるp63の消失抑制を阻害することによる可能性が示唆された。
|