Porphyromonas gingivalisはリポポリサッカライド(LPS)、ジンジパイン、線毛などの病原因子を発現しており、これらの因子がStreptococcus pneumoniae感染時に宿主細胞を活性化し、炎症巣の形成に大きな役割を果たしている。しかし、S.pneumoniae感染症におけるP.gingivalisの菌体成分/分泌物による増悪機序は明らかになっていない。 まず申請者はジンジパインの阻害因子(ロイペプチン)投与量の決定のためC57BL/6マウスを用いて1、10、50、100(mg/kg)の4群に分類しサバイバルレートを行った。結果として50mg/kgにてマウスの脱落が認められなかったため、投与量を50mg/kgと定めた。また、P.g培養上清(PgSup)中に含まれる線毛量を測定するためP.g培養液を硫酸アンモニウム塩析法を用いて濃縮し、培養液中に0.00477mg/mlの線毛が含まれていることがわかった。以降の感染においては、P.g培養液より精製したFimA原液(0.27021mg/ml)を希釈して用いた。LPSの投与量は参考論文より5mg/kgとした。 6週齢雄性C57BL/6マウスをコントロール群(P.g、S.p培養液であるsTSB投与群)、PgSup投与群、S.p感染群、ロイペプチン投与群、S.p+PgSup混合感染群、S.p+LPS混合感染群、S.p+FimA混合感染群、S.p+PgSup+ロイペプチン混合感染群の8群に分け24時間飼育後、肺を回収し組織学的解析、遺伝子発現解析、タンパク発現解析、肺における好中球/マクロファージ分画の解析を行った。 結果として、S.p+LPS、S.p+PgSup+ロイペプチンにおいて炎症増加傾向を認めた。
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