研究課題/領域番号 |
22K21035
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研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
堀 頌子 新潟大学, 医歯学総合病院, 医員 (80963131)
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研究期間 (年度) |
2022-08-31 – 2024-03-31
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キーワード | 咀嚼行動 / 肥満 / ウェアラブル咀嚼回数計 / レトロスペクティブスタディ / 咀嚼 |
研究実績の概要 |
「早食いほど,咀嚼回数が少ないほど肥満のリスクが高い」など,咀嚼と健康の関連についての研究報告は数多く見られ,咀嚼を促す啓蒙活動は盛んである.しかしこれまで,咀嚼と健康の研究報告の多くは主観的評価(アンケート)にしか基づいておらず,客観的に咀嚼行動を評価し,時系列的に全身の健康との関連に着目した研究はほとんどなかった.そこで本研究では,我々が開発研究を進めてきたウェアラブル咀嚼回数計(bitescan)の特徴を活かし,①実際の日常での咀嚼行動データを測定し,肥満や生理学的データとの関連,②個人の咀嚼行動や生活習慣が,レトロスペクティブに調査した時系列的な全身(BMI)の変化にどのように関連しているのかを明らかにすることを目的とする. 本年は,本研究課題に関するデータ採得の準備を行うとともに,これまでのデータから肥満と咀嚼回数との関連を再検討した. BMIは咀嚼回数だけではなく,取り込み回数・咀嚼能率とも関連が見られ,これらのデータを採得する必要性が認められた.また,ひと口量の大きさのモニタリングの必要性が考えられたため,そのアルゴリズムの検討を行った. さらに,食事時の咀嚼回数は,1食の摂取量とも関連が認められ,咀嚼回数が多い者は食事量が多いことが明らかとなった.一方で,食事の摂取カロリー当たりの咀嚼回数はBMIと負の相関があり,食事摂取量のモニタリングが必要であることが明らかとなった.これらの結果をもとに,現在本研究におけるプロトコール準備を行っており,本学倫理委員会への提出を早急に行う予定としている.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本年度は,本研究にともなう準備を行った.研究の進捗がやや遅れているが,研究プロトコールをほぼ決定することができた.現在,本学倫理委員会への研究計画書の提出準備を行っている.
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今後の研究の推進方策 |
本年度は,まず本検討課題についてプロトコールを策定して本学倫理委員会への申請を行う予定としている.さらに,協力企業との打合せを経て,データ採得を行う予定としている.データ採得の流れは、具体的には以下の内容となる. 【対象】協力企業社員より20歳以上男女,300名を予定(進捗状況によっては、研究期間内の測定人数は前後する。) 【測定機器】ウェアラブル咀嚼回数計bitescan 【方法】機器・アンケートを送付し,対象者自身で1週間の日常の食事(+規格食品摂取)時の咀嚼行動を測定,生活強度測定,アンケート記入を行う.終了後データを回収する. 【評価項目】①日常での咀嚼行動:bitescanで測定(咀嚼回数・咀嚼スピード・食事時間・一口回数)②日常での食事内容:1週間記録.健康アプリ「カロミル」により,食事写真情報から画像診断し,摂取カロリー・各種栄養素データを判定する. ③咀嚼特性:規格化された食品(おにぎり1個,100g)を摂取してもらい,bitescanで咀嚼行動を測定する.④BMI,生理学的データ:本年度と3年前の健診データより体重,身長,BMI,腹囲,血圧,血液データを抽出する.⑤生活強度:身体活動量計を1週間貸与し,生活強度,消費カロリーを算出する.⑥口腔状態(歯数,義歯・歯科定期受診の有無等)⑦アンケート:食習慣(BDHQ),QOL(SF36),メンタルヘルス(K6),生活習慣,睡眠★20歳時の体重・身長(BMI算出),現在と比べた咀嚼習慣,生活習慣,運動・食事摂取量
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次年度使用額が生じた理由 |
2022年度においては、まだ準備段階であり実際の計測は開始しなかった。(計測に使用する物品の検討・学会での情報収取などに資金を使用した) 次年度からは本格的に計測を開始するため、計測に関係する資金が発生する。 予定として、消耗品費(計測に用いる食品(おにぎり)、bitescan用の電池、アンケート使用に関する消耗品),他計測機器の郵送の為の郵送費・食事内容分析のためのカロミル社の画像診断解析費用が必要となる。また、本研究結果の公表およびディスカッションのための旅費・英文校正費用も掛かる見込みである。
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