本研究は全静脈麻酔下で歯科治療を行った抗てんかん薬内服患者(AED群)と非内服患者(対照群)を対象に,抗てんかん薬の内服が静脈麻酔薬であるプロポフォールの麻酔効果および薬物動態にどのように影響しているか,つまり薬物相互作用について解明することを目的に行われた.その結果,AED群の覚醒時間は対照群と比較して有意に長く,覚醒時の麻酔深度は血中の全プロポフォール濃度および血中蛋白から遊離した遊離型プロポフォール濃度と連動していた.よって、抗てんかん薬の常用は麻酔効果に影響を及ぼしていることが示唆されたが,遊離型プロポフォールの薬物動態に対する影響についてはさらに検討が必要であると考えられた.
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