研究課題
研究活動スタート支援
矯正力負荷時の圧迫側の歯根膜組織は、血管が圧縮され血流の供給が減少することから低酸素環境になる。近年、歯根吸収発症の過程には、その低酸素環境に起因する硝子様変性(虚血性細胞死)と、破骨・破歯細胞の分化・活性化が深く関与していることが明らかになってきた。そこで、本研究では、cPLA2阻害剤を用いて、歯根吸収へのcPLA2の関与を検証した。cPLA2阻害剤投与により歯根吸収が抑制される傾向が認められ、cPLA2は歯根吸収の発症に関与していることが示唆された。
歯科矯正学
歯科矯正治療において、歯根吸収は最も頻繁に認められる副作用の一つであり、歯根吸収が甚だしい場合には抜歯に至ることもあるため、多くの歯科医師は、一刻も早い歯根吸収の予防法の確立を求めている。しかし、世界的にもその原因やメカニズムはほとんど解明されておらず、歯根吸収の予測法や、その予防法もないのが現状である。よって、本研究においてcPLA2阻害による歯根吸収への抑制効果が立証され、そのメカニズムの一端が解明されれば、歯根吸収の研究において大きな一歩となる。