研究課題
歯周病関連菌Porphyromonas gingivalisは付着因子として二種の異なる線毛であるFimAおよびMfa1線毛を保有する。FimA線毛およびMfa1線毛は主要成分であるFimAおよびMfa1タンパク質により構成されるが、その他に4つの微量成分FimB~FimE及びMfa2~Mfa5が含まれる。主要成分をコードするfimAはその遺伝子配列の違いにより I~V型に分類され、II型およびIV型を持つ株の病原性が高いことが報告されている。一方、mfa1型については不明な点が多いが、近年我々は、mfa1が53、70Aおよび70B型に分類されることを明らかにした。さらに、fimAおよびmfa1の下流に位置する微量成分の遺伝子型解析にも着手し、mfa2~mfa5及びfimB~fimEにおいても異なる遺伝子型が存在することも報告した。そこで本研究では、全ての線毛成分の遺伝子型分類を可能とする手法を確立すると共に、開発した方法により歯周炎患者のFimA線毛及びMfa1線毛の遺伝子型分類を試み、臨床症状との関連性を調査すること、さらに線毛機能を明らかにすることを目的とした。現在までに、既報のプライマー及び新規に設計したプライマーを用いたPCRにより、fimA及びmfa1のそれぞれの遺伝子型が特異的に増幅されることが確認された。一方、mfa2、mfa3、mfa4の遺伝子型分類については特異的に検出するためのプライマーセットおよびPCR条件を見いだすことはできなかった。FimA線毛の定着における役割を明らかにするために、fimA I型を持つP. gingivalis株から線毛を精製し、プロテインマイクロアレイを実施した。その結果、線毛と結合する134個の候補タンパク質を同定することができた。今後は、線毛遺伝子型と候補タンパク質との結合能を比較検討していきたい。
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