BRONJのメカニズムには未だ不明な点が多く、治療方法は確立されておらず、根治が難しい。申請者らは、糖尿病(DM)モデルマウスを用いた検討により、plasminogen activator inhibitor-1(PAI-1)が、骨修復遅延に関与することを見いだした。本研究では、BRONJモデルマウスを用いて、BRONJの発症メカニズムと、発症・増悪過程におけるPAI-1の関与を検討することにより、BRONJの発症予防や治療成績を向上させることを目的としている。 昨年度は、野生型(WT)マウスとPAI-1遺伝子欠損(PAI-1KO)マウスを使用し、ゾレドロン酸(ZA)投与により破骨細胞機能を抑制させた状態で、上顎第一大臼歯の抜歯を行うことでBRONJモデルの立ち上げを行い、BRONJモデルマウスの抜歯窩は抜歯後4週経過しても治癒することはなく、抜歯窩の周囲骨が壊死しており、顎骨壊死が誘発されることを確認した。さらにストレプトゾトシン(STZ)を投与することでDMを誘発し、顎骨壊死発症への影響を解析している。具体的には、①WT、ZA(+)、STZ(-)②WT、ZA(+)、STZ(+)③PAI-1WT、ZA(+)、STZ(-)④PAI-1KO、ZA(+)、STZ(+)の4群を設定し、マウスの上顎第一大臼歯を抜歯した後、1、2、3、4週間後にマイクロCTで撮影し、抜歯窩に生じた新生骨を評価することで、創傷治癒遅延や顎骨壊死発症の状況について解析を進めてきた。さらに、抜歯4週後に解剖を行い、上顎骨を摘出し、抜歯窩の治癒過程の組織学的解析を進めてきた。今後、BRONJ発症のメカニズムにおけるDM状態の影響や、DM状態による血清PAI-1上昇のBRONJ発症への影響等を詳細に検討してく予定である。
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