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2022 年度 実施状況報告書

口腔癌患者由来・癌関連線維芽細胞、機能性RNA解析に基づく治療標的分子の 探索

研究課題

研究課題/領域番号 22K21052
研究機関千葉大学

研究代表者

駒 綾香  千葉大学, 大学院医学研究院, 特任助教 (60963098)

研究期間 (年度) 2022-08-31 – 2024-03-31
キーワード口腔扁平上皮癌 / 癌関連線維芽細胞 / 機能性RNA / マイクロRNA
研究実績の概要

口腔扁平上皮癌は、毎年約22,000人が罹患する癌であり,男性における癌の3%と女性における癌の2%を占める。本疾患の治療では、手術が初期治療の第1選択であるが、進行している場合や高リスクの特徴を有する場合には、術後に放射線療法または化学放射線療法を追加する。しかしながら、口腔扁平上皮癌細胞は、これら治療に対して治療抵抗性を獲得し、局所再発や遠隔転移を起こす。治療抵抗性に至った患者に対する治療法は限定的であり、予後は極めて不良である。
癌組織において間質を構成する主な細胞は線維芽細胞であり、口腔扁平上皮癌では、この間質の割合が多く、大量の線維組織を含むことが知られている。癌関連線維芽細胞(cancer-associated fibroblast:CAF)は、細胞増殖因子や血管新生因子を産生する事により、腫瘍細胞の増殖や浸潤を促進する事が報告され、腫瘍細胞の運命を司る存在として、癌治療における新たなターゲットとして注目されている。
ヒトゲノムプロジェクトの成果として、ヒトゲノムからは、蛋白コード遺伝子の他に極めて多くの蛋白非コード遺伝子が転写され機能していることが明らかとなった。最近の癌研究から、蛋白非コード遺伝子が、癌の進展・転移・治療抵抗性に関与していることが示されている。マイクロRNAは、僅か19~22塩基の1本鎖機能性RNA分子であり、細胞内で、遺伝子発現の調整役として機能している。マイクロRNAの特徴として、1種類のマイクロRNAは数百から数千の遺伝子発現に関与しており、マイクロRNAの発現異常は、細胞内の分子ネットワークの破綻を誘導し、癌細胞の進展・転移・薬剤耐性に関与していることが示されている。
本研究では、CAFに特異的な発現をするマイクロRNAを探索し、その機能と、マイクロRNAが制御する分子ネットワークの探索を行う。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

口腔扁平上皮癌臨床検体から、CAFの初代培養を行い、6検体のCAF由来NAを得ることができた。口腔扁平上皮癌臨床検体3サンプルと、CAF6サンプルについて、RNAシークエンスにてマイクロRNA発現プロファイルを作成した。口腔扁平上皮癌組織と比較して、CAFにおいて発現変動(発現亢進および発現抑制)するマイクロRNAの探索が可能であった。これらのマイクロRNAについて、The Cancer Genome Atlasを用いて解析した結果、口腔扁平上皮癌患者の予後に影響を与えているマイクロRNAを複数選択する事が可能であった。

今後の研究の推進方策

CAFにおいて特徴的な発現(発現亢進および発現抑制)を示し、さらに、患者の予後に関与するマイクロRNAについて以下の検討を行う。
(1) マイクロRNA核酸導入解析による口腔扁平上皮癌細胞の悪性化に関わるマイクロRNAの探索
マイクロRNAを、口腔扁平上皮癌細胞株に核酸導入し、癌細胞の悪性度の変化(細胞増殖能、浸潤能、遊走能、抗アポトーシス能、抗癌剤耐性)について検討する。
(2) マイクロRNAが制御する機能性RNAネットワークの探索
マイクロRNAの生物学的な特徴として、1種類のマイクロRNAは、極めて多くの蛋白コード遺伝子の発現を負に制御している。また、マイクロRNAが制御する分子は、細胞によって異なる。そこで、マイクロRNAを口腔扁平上皮癌細胞に核酸導入後、マイクロRNAが制御する分子について、ゲノムワイドな発現解析を行い、マイクロRNAが制御する分子ネットワークを探索する。

次年度使用額が生じた理由

次年度に、マイクロRNAを、口腔扁平上皮癌細胞株に核酸導入し様々な機能解析を行い、さらに、マイクロRNAが制御する分子について、ゲノムワイドな発現解析を予定しているため。

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公開日: 2023-12-25  

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