研究課題/領域番号 |
22K21053
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研究機関 | 東京医科歯科大学 |
研究代表者 |
根本 昂 東京医科歯科大学, 大学院医歯学総合研究科, 非常勤講師 (20964836)
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研究期間 (年度) |
2022-08-31 – 2024-03-31
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キーワード | 歯周病 / メタゲノム / メタトランスクリプトーム / マルチオミックス |
研究実績の概要 |
口腔内の代表的な感染症である歯周病は、プラーク中の細菌により生じる口腔を代表する複合菌感染症である。歯周病はプラーク中の細菌が病原性の高いものへと変化(dysbiosis)することで炎症性の歯周組織破壊が生じる。その病態の理解と予防・治療法を検討する上で細菌叢のdysbiosisの特徴やそれらが生じる原因を知ることは重要である。 本研究では歯周病治療前後の歯周局所の歯肉溝(ポケット)から採取したプラークおよび歯肉溝滲出液(GCF)サンプルからDNAおよびRNAを抽出し、疾患の発症・進行・再発に関わる細菌学的マーカー(細菌叢、細菌種および発現遺伝子の特徴)の解明を目的とした。 歯周病治療前の健常歯周組織、歯肉炎、歯周炎部位のプラークおよびGCFサンプルからDNAおよびRNAを抽出、次世代シーケンサーを用いてメタゲノムおよびメタトランスクリプトーム解析を行い、細菌叢組成を調べた。また、同様の調査を歯周基本治療後に採取したサンプルに対しても行った。これにより臨床症状の変化にあわせた細菌叢の変化が明らかになり、病態に関連する細菌学的マーカー候補を複数特定した。今後は得られたデータから病原因子の組成、細菌種間ネットワークの特徴、細菌種の活動性(RNA/DNA比から評価)、宿主細胞由来の遺伝子発現の解明を進めることで、疾患の発症・進行・再発に関わる細菌学的マーカー(細菌叢、細菌種および発現遺伝子の特徴)の絞り込みを行い、歯周治療における新たな病状評価法への応用開発を目指す。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初の予定通りサンプル採取、データ解析を進めているが、データ量が膨大なためスーパーコンピュータでの解析に時間を要している。
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今後の研究の推進方策 |
データ解析終了後は速やかに学会での発表および国際誌への投稿を行う。またサンプルの状態が悪く、解析に不適と思われるサンプルが見つかる可能性もあるため引き続きサンプル採取を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
既に確保していたサンプルの解析は進行しているが、新たな被験者からのサンプル採取数が少ないため。患者のリクルートについてより効果的な方策を検討し,研究の遂行に努力する。
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