研究課題/領域番号 |
22K21055
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研究機関 | 東京医科歯科大学 |
研究代表者 |
小湊 広美 東京医科歯科大学, 大学院医歯学総合研究科, 非常勤講師 (60964567)
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研究期間 (年度) |
2022-08-31 – 2025-03-31
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キーワード | 糖尿病と歯周病 / 2型糖尿病 / 歯肉線維芽細胞 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、ビグアナイド系糖尿病治療薬であるメトホルミン投与が歯肉創傷治癒における結合組織にもたらす効果を網羅的な遺伝子解析から検討し、さらに高血糖によって生じるコラーゲン病的架橋及びコラーゲン産生能の低下に対するメトホルミンの影響を歯肉線維芽細胞で検索することである。メトホルミンが1型糖尿病モデルラットの創傷治癒を促進するという研究は皮膚科領域では報告例がある(Yu J et al. Cardiovasc Diabetol. 2016)が、口腔領域の創傷治癒に及ぼす影響への解析は、申請者の過去の研究のみである(Kominato et al. J Periodontol. 2022)。また、糖尿病の定義である「慢性的な高血糖状態」が歯周組織の創傷治癒や歯周炎の発症・進行など様々な影響を及ぼすメカニズムとして、プロテインキナーゼC(PKC)活性や酸化ストレスにより血管内皮細胞で生じている潜在的な炎症状態に起因している可能性が報告されている。 本研究では、前糖尿病モデル動物へのメトホルミン投与が創傷治癒時の結合組織形成の促進をもたらす可能性を、歯肉創傷部の遺伝子発現の網羅的解析、さらに結合組織に蓄積した終末糖化産物関連のタンパクの解析から検討し、その結果に基づきメトホルミンが歯肉線維芽細胞の機能に及ぼす詳細なメカニズムをin vitroにてコラーゲン産生関連遺伝子解析、タンパクの解析から検討する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
糖尿病の特徴である高血糖状態が歯周組織の創傷治癒や歯周炎の発症・進行など様々な影響を及ぼすメカニズムとして、プロテインキナーゼC(PKC)活性や酸化ストレスにより血管内皮細胞で生じている潜在的な炎症状態に起因している可能性が報告されていることを踏まえ、活性酸素が歯周組織における創傷治癒と組織再生に及ぼす影響についての総論をまとめ上げた。 歯肉線維芽細胞を用いて、高血糖状態が歯肉線維芽細胞の増殖能や酸化ストレスによる遊走能にどのように影響をおよぼすかを、そのメカニズムを含めて検索している。結合組織移植術を受ける全身的に健康な患者から同意のもと術中に採取したヒト歯肉結合組織から歯肉線維芽細胞を単離して初代培養を行い、対照培地(グルコース濃度:15mM)で培養し、同培養液のグルコース濃度を50mMに調整して高血糖状態を想定して培養することを条件確定した。今後は対照群、高血糖群にメトホルミン添加を行った後、Ⅰ型コラーゲン、Ⅲ型コラーゲン、フィブロネクチン(接着因子)、MMP-13(コラーゲン分解酵素)等の発現 をリアルタイムPCR法およびウェスタンブロット法にて評価していく予定である。
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今後の研究の推進方策 |
細胞実験では、現在培養している歯肉線維芽細胞を用いて、対照培地(グルコース濃度:15mM)と高血糖培地(グルコース濃度:50mM)で培養したのちにメトホルミン添加を行いⅠ型コラーゲン、Ⅲ型コラーゲン、フィブロネクチン、MMP-13等の発現をリアルタイムPCR法およびウェスタンブロット法にて評価する。 動物実験では高脂肪食の8週間投与後に10週齢の時点でインスリン負荷試験、経口グルコース負荷試験により耐糖能異常、インスリン抵抗性が生じていることを確認した後、2週間のメトホルミン投与(250 mg/kg/d、経口投与)の有無の2群に分けた後に歯肉創傷の作製、組織学的、組織形態計測分析、発現変動遺伝子発現の解析、歯肉結合組織に蓄積したAGEs量にメトホルミンが及ぼす影響の検討を行った後に実験データの解析、統計処理を行っていく。
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次年度使用額が生じた理由 |
翌年度に行う予定の予備実験の物品購入に使用する予定である。
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