研究実績の概要 |
研究 1:Chst11ノックアウトマウスの口蓋突起において、酸化的リン酸化やATP産生の低下といったミトコンドリアの機能異常が引き起こされているかを明らかにすることとした。酸化的リン酸化の異常によるATP産生低下は、ミトコンドリアの機能異常が起こっていることを示している。実際に、口蓋突起が癒合する前 の胎生14.0日において、Chst11ノックアウトマウスならびに野生型マウスの口蓋突起を実体顕微鏡下で切り出し、ATP Assay Kit- Luminescence(同仁化学)を用 いてATP産生量を定量評価した。計測したATP量はサンプルに含まれる総DNA量で補正した。酸化的リン酸化はSim ard (PMID:29660116)の方法にて、未固定凍結切 片を用いて比較検討した。これらの結果から、Chst11ノックアウトマウスの口蓋突起において 、ミトコンドリアの機能異常が引き起こされていることが明らかとなった。 研究 2:ミトコンドリア活性薬剤MA-5を用いて、Chst11ノックアウトマウスにおける口蓋裂発症が予防できるかを検討した。東北大学大学院医学系研究科病態 液性制御学分野および大学院医工学研究科分子病態医工学分野の阿部高明教授、松橋徹郎らは薬剤 Mitochonic acid 5(MA-5) を用いてミトコンドリアにおける ATP産生メカニズムを活性化できることを示している(Tetsuro M et al., 2017 eBioMedicine PMID:28579242 )。本研究では雌性Chst11ヘテロノックアウトマウス(雄性Chst11ヘテロノックアウトマウスと交配)に対して、妊娠12.5日、13.5日、14.5日に MA-5を1日1回経口投与し、E18.5にて胎児を取り出し、実態顕微鏡下 で形態学的解析ならびにパラフィン切片を作製し、HE染色により組織学的解析を行った。これにより、ATP産生を促進することでChst11ノックアウトマウスにおける口蓋裂発症を予防できるかを検討した。
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