現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ラット下顎骨頬側から下顎第一臼歯遠心根および第二臼歯近心頬側根の頬側に、歯根膜組織を含む歯槽骨欠損部をラウンドバーにて形成、JNK阻害剤を浸漬させ たアテロコラーゲンスポンジを填入した。コントロール群にはDMSOを用いた。その後、1, 3, 5, 7, 14日でラットを屠殺し下顎骨を摘出し、これらの切片を作製 後、組織学的解析を行った。これまでの結果では、JNK阻害剤群において骨修復及び歯根膜組織の修復を促進することがわかっていた。歯周組織傷害~再生の過程におけるマクロファージの発現動態解析のためM1マクロファージの分化マーカー(CD80)およびM2マクロファージの分化マーカー(CD206)について免疫組織化学染色法により解析を行った。その結果、JNK阻害剤群では、コントロール群と比較して傷害部位におけるCD86陽性細胞数は有意に減少し、一方でCD206陽性細胞数は有意に増加した。また、JNK阻害剤群では傷害部位近傍のIL-1bの発現が減少していることがわかった。次に、in vitroにおいてJNK阻害剤がヒト歯根膜細胞における炎症マーカーの発言に及ぼす影響について解析を行なった。その結果、IL-1bにて刺激したヒト歯根膜細胞は炎症マーカーであるIL-1b, IL-6及びIL-8の遺伝子発現が有意に増加した。一方で、JNK阻害剤は、IL-1bによって上昇した炎症マーカーの発現を有意に減少させた。シグナル解析でも同様に、L-1bにて刺激したヒト歯根膜細胞において、NF-kBのリン酸化は有意に促進したが、JNK阻害剤を添加すると、NF-kBのリン酸化は有意に抑制されることがわかった。 ここまでの内容について、2024年3月に行われた日本再生医療学会総会においてポスター発表を行った。
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