研究課題
接合上皮特異的に発現するタンパク質であるOdontogenic ameloblast-associated protein(ODAM)はこれまでの研究において、上皮性付着への関与が示唆され、炎症性歯肉で発現が増加することが明らかとなっている。本研究の目的は、miRNA発現ベクターを導入した歯肉上皮細胞をTNF-αまたはIL-1βで刺激し、炎症時の細胞環境を再現することで、炎症性歯肉で発現が増加するmiR-200bおよびmiR-223によるODAM遺伝子発現調節機構を解析し、炎症時の接合上皮における動態を解明することである。ODAMは接合上皮特異的に発現することから、接合上皮と歯面の接着への関与が示唆されており、炎症性刺激に着目し、IL-1βまたはTNF-αによる歯肉上皮細胞でのODAM遺伝子の転写調節メカニズムを報告した。ヒト歯肉上皮細胞において、TNF-αおよびIL-1βはAキナーゼ、チロシンキナーゼ、MEK1/2、PI3キナーゼ、NFκB系の細胞内シグナル伝達経路を介し、CCAAT/enhancer binding protein β(C/EBPβ)およびYin Yang 1(YY1)転写因子を遺伝子プロモーター配列中の応答配列に結合させ、ODAMの遺伝子発現を増加させることを明らかにした。ヒトODAM遺伝子もまたmiRNAにより調節を受けると仮定し、炎症歯肉で発現が増加するmiRNAがODAMに直接あるいは間接的に及ぼす影響について解析することとした。炎症歯肉で発現が増加するmiRNAと様々な疾患との関与が報告されており、当研究室でも、標的遺伝子であるIKKαとmitogen-activated protein kinase phosphatase-5(MKP-5)を介し、miR-223がヒト歯肉線維芽細胞における炎症性サイトカインの発現を増加させることを報告した。
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すべて 雑誌論文 (3件) (うち国際共著 3件、 査読あり 3件、 オープンアクセス 3件)
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