研究課題/領域番号 |
22K21101
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研究機関 | 科学警察研究所 |
研究代表者 |
中村 隆太 科学警察研究所, 法科学第三部, 研究員 (40960802)
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研究期間 (年度) |
2022-08-31 – 2024-03-31
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キーワード | 植物系統分類 / ヒヨドリバナ属 |
研究実績の概要 |
今年度の研究に関しては、まず研究に用いるヒヨドリバナ属のサンプル採集について、採集地点及び必要な許可申請について調査を行った。対象としているヒヨドリバナ属植物は、主に秋頃に開花する植物であるため、採集自体はほとんど実施できなかったが、一部の種に関しては採集を実施した。採集できた個体については、形態観察を行い、種の同定を行った。琉球地方には冬に開花する種が存在するため、これの採集を図ったが、所内の手続きの関係で、2023年4月に実施することになった。なお、計画時に考えていた国立科学博物館の筑波実験植物園で栽培されている、主に琉球列島に生育しているヒヨドリバナ属は、博物館の担当者に確認したところ利用不可であったため、琉球列島の個体についても自力で採集する必要があることが判明した。一方、東京大学大学院理学系研究科附属植物園(小石川植物園)のヒヨドリバナ属については、申請を行えば利用できることが確認できたため、2023年度にこれを行う。 また、植物分類学会に参加し、現在の植物分類における形態観察、DNAを用いた系統解析の現状について情報収集を行った。形態観察については、あまり詳しい発表が無かったものの、本研究計画時に想定していたような、図鑑に記載されている内容を基にした観察が基本であった。DNAを用いた系統解析についても、本研究で計画しているMIG-seqを用いた研究が多数発表されていたことから、この手法の有用性が確認できた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
当初の想定では、2022年度よりヒヨドリバナ属サンプルの採集を開始する予定であった。しかし、研究開始時期が遅れたことで、野生個体の調査時期がヒヨドリバナ属の開花シーズンからずれてしまい、ほとんど採集を実施できなかった。ヒヨドリバナ属は一年ごとに生長と枯死を繰り返す一年生植物であるため、開花シーズンを終えると採集が困難であった。野生個体が確認されている地域や、採集の許可申請については確認できているため、シーズンになれば採集はできるものの、2023年度内のみで採集できる数には限りがある。そのため、本研究の目的に準じて、小石川植物園で生育する個体の種及び由来を軸に、現地での採集を行うことを考えている。
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今後の研究の推進方策 |
まず、ヒヨドリバナ属サンプルの採集を行う。開花シーズンが始まる前に、小石川植物園に保存されている個体について、手続き及び葉の採集を行う。野生個体の採集については、開花シーズンに行う。採集地点については、できるだけ種を網羅できるようにするほか、小石川植物園に保存されている個体が、どの地点で採集されたものかをDNA解析により明らかにできるか確かめるため、同じ地域内での採集も行うことを考えている。 染色体数観察については、根ごとの採集が必要になる。しかし、根ごとの採集になる場合、葉だけの採集と比べて手続きがかなり煩雑になることが予想される。また、形態観察及びDNA解析と比べると優先度が低いため、研究の進捗を見て本研究で実施するか検討する。 形態観察については、計画通りサンプル採集次第実施する。また、DNA解析についても、計画通りサンプルが揃い次第実施する。
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次年度使用額が生じた理由 |
2022年度は、ヒヨドリバナ属の開花シーズンに、当初予定していたサンプル採集をほとんど実施できなかった。そのため、調査用の旅費をほぼ使用しなかった。また、サンプル採集が進んでいないことから、染色体観察やDNA解析も行えていないため、これらに関する費用も使用しなかった。 次年度は、2022年度で実施できなかった植物採集を行うため、次年度使用額はその際に使用する計画である。また、物品費等も次年度に実施するDNA解析で主に使用する。
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