途上国辺縁地域住民における環境化学物質曝露と酸化ストレスとの関係を明らかにするため,ラオス北部住民を対象とした調査研究を実施した.化学物質曝露(主に微量元素),酸化ストレス,腸内細菌叢についてバイオマーカーを用いて評価し,それらの関連を検討した.その結果から,有害微量元素(ヒ素やカドミウム)への曝露が酸化ストレス(特に脂質の酸化損傷)の増大に寄与するが,セレンがこの影響を抑制する可能性があることが示唆された.微量元素曝露と酸化ストレスとの関係性において,腸内細菌叢が修飾因子として機能する可能性があることを示唆する結果も得られた.
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