研究実績の概要 |
運動器疾患をターゲットにした大規模地域住民コホートResearch on Osteoarthritis/osteoporosis Against Disability(ROAD)studyは、2005年に立ち上げ、東京都板橋区、和歌山県日高川町、同県太地町において、研究の同意が得られた一般住民を対象に運動器疾患を主たる予防ターゲットとした検診を実施し、その後追跡調査を行ってきた。2012-13年に実施した第3回調査より、日高川町・太地町の調査において全脊椎単純X線撮影を開始しており、これを本研究のベースライン調査とした。第5回調査(2018-19年実施)まで完了しており、2022-23年に10年目の追跡調査となる第6回調査を実施した。本年度は第6回調査の後半である太地町での検診を実施するとともに、前年度に実施した日高川町における検診(第6回調査前半)から、10年間の脊椎椎体骨折(VF)と変形の重度なsevere VF(sVF)の発生率を人年法を用いて算出し、Cox回帰分析によりリスク因子を推定した。 702人(男性244人、女性458人、平均年齢68.2歳)の対象者のうち、VFとsVFの発生数・発生率はそれぞれVF:176人、3.87/100人年、sVF:67人、1.41/100人年だった。年齢で層化し、性・BMI・飲酒喫煙習慣・骨密度等を補正したCox回帰分析では、VF発生のリスク因子は喫煙(ハザード比2.17, 95%信頼区間1.28-3.68)とベースラインにおけるsVFの存在(ハザード比2.73, 95%信頼区間1.54-4.84)、sVF発生のリスク因子はベースラインにおけるVFの存在(ハザード比4.65,95%信頼区間2.59-8.36)と肥満(BMI≧27.5, vs 18.5≦BMI<25, ハザード比2.84, 95%信頼区間1.18-6.84)だった。
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