研究課題/領域番号 |
22K21113
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
浅瀬 万里子 京都大学, 医学研究科, 助教 (10968530)
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研究期間 (年度) |
2022-08-31 – 2026-03-31
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キーワード | 補助人工心臓 / 重症心不全 / 心臓移植 / Quality of Life |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、「日本における補助人工心臓に関連した市販後のデータ収集J-MACS(Japanese registry for Mechanically Assisted Circulatory Support)レジストリシステム」で収集されたデータを利用し、日本におけるVAD装着患者の長期QoLと当該変化に影響する因子を同定することである。 昨年度は①iLVAD:植込型VADのみを装着、②pLVAD:体外式(Nipro)VADのみを装着、③BTB:体外式から植込型へ移行、という3つの治療戦略群に分類し、VAD装着前から3か月、12か月後までのEQ-5Dの視覚評価法(Visual Analogue Scale:VAS)と5項目法(5 Dimentions:5D)によるQoLの経時的変化を把握すると共に、各当該治療群に対して比較評価を実施した。 治療戦略ごとの比較の結果、全ての治療戦略において健康関連QoLは、VAD装着前に比較し、装着後3か月、12か月も有意に改善し、植込型VADだけではなく体外式VADにおいても、長期に患者の健康関連QoLを改善することが示された。しかし、治療戦略間で比較すると、植込型VADに比し、体外式VADのVASスコアは低く、5Dの身体的機能項目である「移動の程度」「身の回りの管理」の問題が顕著であった。また健康関連QoLに影響する因子は治療戦略のみであり、その他の因子は影響していなかった。よってVAD治療戦略に合わせたケア提供が必要であり、特に体外式VAD患者への長期的な身体的支援が必要性が示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
本年度は3つの治療戦略群によるQoLの経時的変化を把握すると共に、各当該治療群に対して比較評価の結果をまとめた論文掲載までに時間を要した。また植込型VAD患者の60か月後までの長期QoLに関する国内の先行研究が発表されたことで、当初予定していた植込型VAD患者の長期QoLに関する投稿論文の変更を行い執筆中のため予定よりも進行が遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
今後は現在投稿準備中である、治療戦別でのVAD装着患者のQoL長期経過に関する関連論文を投稿予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
治療戦略群の比較結果で得られた結果から植込型VAD患者の長期QoLにどのような因子が関係しているのかについて明らかにし、発表していく予定であったが、類似する先行研究が発表されたことで内容変更を検討せざるを得なくなった。さらに教育業務や1本目の論文投稿掲載にまでに時間を要し、予定していた国際学会への参加が叶わなかった。現在、2本目の論文を投稿準備中であるため、本年度課題延長を行うことで2本目の論文投稿、関連学会での発表に使用予定である。
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