研究課題/領域番号 |
22K21114
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
野沢 恭介 大阪大学, 大学院医学系研究科, 助教 (80967034)
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研究期間 (年度) |
2022-08-31 – 2025-03-31
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キーワード | ゲートキーパー / 自殺対策 / メンタルヘルス / ピアサポート / 若者世代 / 精神保健 |
研究実績の概要 |
自殺対策として国が進めている施策の一つに、ゲートキーパーの育成がある。ゲートキーパーとは、自殺の兆候に気づき、適切な行動(=声をかけ、話をよく聞き、支援のための資源につなげ、見守ること)ができる人のことである。Gatekeeper Training (以下GKT)は、ゲートキーパーの育成を目的としたプログラムで、専門家でない人が自殺行動のリスクがある人を識別し対応できるようにすることを目指しており、自殺予防における最も一般的な介入である。 筆者は、日本の高等教育機関に所属する学生を対象に、学生に特化した内容であるオンラインによるGKTを開発し、無作為化比較対照試験を実施した。この研究では、主要評価項目であるゲートキーパーとしての自己効力感の有意な向上を認めた。しかし、参加者、つまりゲートキーパー自身のメンタルヘルスに関するその他指標では、有意な向上が見られず、今後の課題となった。 そこで、本研究の目的は、ゲートキーパーとして困難を抱えている点や課題などについて、ゲートキーパー自身の実態を解明することである。さらに、明らかになった困難感や課題を踏まえた、ゲートキーパー自身のためのメンタルヘルス向上を目指したプログラム作成のための示唆を得ることである。 令和6年4月現在まで、ゲートキーパーの実態をより詳細に調査するために、文献検討とインタビューガイドの検討を行った。現在、倫理申請書類の作成を進めると共に、インタビューガイドを作成し、インタビューの依頼先を検討している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
本研究における調査対象について、当初の計画通り学生のみに実施するのではなく、さまざまな背景を持つゲートキーパーを対象とすべきか、更なる検討を要し ている。これにより、倫理申請書類の立案などが遅れているため、進捗状況は遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
令和6年度は、自殺対策の専門家を交えたミーティングを行い、随時ゲートキーパーへのインタビュー調査を実施し、解析を進める。また、その結果を踏まえ、 ゲートキーパー自身のためのメンタルヘルス向上を目指したプログラムの大枠を作成することを目指している。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初、令和5年度中に行う予定であったインタビュー調査のための旅費、データ分析のための人件費、およびそれに伴い必要な設備備品などを計上していたが、 インタビュー調査の実施に着手できなかったため使用しなかった。これらについては、令和6年度中にインタビュー調査を実施する際に使用する予定である。
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