| 研究実績の概要 |
新型コロナウイルス感染症 (COVID-19) 患者のうち70歳以上の高齢者が重症者数、死亡者数ともに多い。本研究では 80代以上の高齢者に対するmRNAワクチンの追加接種の有効性を解析した。兵庫県在住の80代以上の高齢者のうちmRNAワクチンを3回接種者（n=67）、4回接種者(n=48)を対象として新型コロナウイス（SARS-CoV-2）変異株7種に対する中和抗体保有率を評価した。対象者の血清中に含まれる中和抗体価は生ウイルスを用いて測定した。その結果、3回目ワクチン接種後約103日後の抗体陽性率は各変異体に対し100%( D614G)、97% (Delta)、81% (Omicron BA.2)、51% (BA.5)、67% (BA.2.75)、4% (BQ.1.1)、21% (XBB)であったが4回接種後約48.5日後は100％(D614G)、100％(Delta)、98％(Omicron BA.2)、79％(BA.5)、92％(BA.2.75)、31％(BQ.1.1)、52％(XBB)に上昇した。2023年3月時点の国内流行株であったBQ.1.1およびXBBに対する中和抗体は4回目接種により80代以上の高齢者で誘導された。しかし、BQ.1.1およびXBBは免疫回避能力が高く、中和抗体価は他の変異体に対して低値のため、新規変異株に対応したワクチン開発の必要性が示唆された。以上の研究成果をまとめた原著論文を発表した(Sutandhio, S. et al. J Infect Public Health., 2023)。
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