最終年度は、小児集中治療領域における患者・家族中心のEnd-of-Life Careにおける親-看護師のパートナーシップによる協働のプロセスを明らかにすることを目的としてインタビュー調査を実施した。研究方法は、修正版グラウンデット・セオリー・アプローチとし、対象者は10施設の小児集中治療領域に勤務または勤務経験のある看護師経験年数5年以上の看護師17名であり、60分程度の半構造的面接を実施した。分析は、逐語録の分析による概念生成と結果図およびストーリーラインの記述を行い、パートナーシップによる協働が成り立つための諸性質とは何かという観点から分析結果の解釈を検討した。研究の実施にあたり個人の人権を擁護するよう十分な倫理的配慮のもとに実施した。分析の結果、3つのカテゴリー、5のサブカテゴリー、17の概念が生成された。小児集中治療領域における患者・家族中心のEnd-of-Life Careにおける親-看護師のパートナーシップによる協働が成り立つための本質的な構成要素とは、親と看護師が相互理解に基づく情報共有を行い、子どもへのケアの主体者は両者の間で流動性を維持しつつ柔軟に決定され、共通の目標を形作り子ども最善のケアを目指す関係性を構築するプロセスを両者が形成することであると明らかになった。 研究期間全体を通じて、小児集中治療領域におけるEnd-of-Life Care概念の明確化と、看護師が脆弱かつ危機的な状況に置かれた親の内的な体験の理解に資する文献の集約、親と看護師の協力関係構築に影響しうる両者の間に生じる認識のズレの現象の理論化を行い、子どもと家族にとって最善の協力関係である、パートナーシップによる協働を成立させる看護モデルを新たに構築した。今後は、本看護モデルの臨床の場での実践的活用の推進と評価研究による看護モデルの検証および応用に関する研究が求められる。
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