研究実績の概要 |
低骨密度は母子に共通する重要な健康問題である。しかしながら、日本において母子を対象とした尿中バイオマーカーと骨密度の関連について、大規模疫学調査によるエビデンスは限られている。そこで、本研究では、妊娠期からの追跡調査により、妊娠中の母親の尿中バイオマーカーが将来的な母子の骨密度に及ぼす影響を明らかにすることを目的とした。対象者は、環境省「子どもの健康と環境に関する全国調査(エコチル調査)」の大阪ユニットセンターに登録されている母子のうち、学童期検査(小学2年)に参加した子どもとその母親である。 2019年度から2022年度の4年間、学童期検査(小学2年)の検査会場にて、インフォームドコンセントを取得し、母子の骨密度測定、身体計測、採尿、質問票調査を実施した。8歳児及びその母親の骨密度に関する指標は、定量的超音波測定法装置(A-1000 EXP Ⅱ(GE Healthcare Japan Co., Ltd, Tokyo, Japan))にて、超音波伝播速度(Sound Of Speed, SOS)及び超音波減衰定数(Broadband Ultrasound Attenuation, BUA)を測定し、スティフネス値(Stiffness Index, SI)を算出した。今年度は、構築したデータベースを使用し、尿中バイオマーカーと骨密度に関する指標についての横断的・縦断的分析を進めた。 児の尿中バイオマーカーと児の骨密度に関する指標の横断的検討では、カルシウム、微量アルブミンの高値と骨密度指標の低値との関連が見られた。また、妊娠中の母親の尿中バイオマーカーと産後8年時点の母親の骨密度に関する指標の縦断的検討では、カルシウム、マグネシウムの高値と骨密度指標の低値との関連が認められた。
|