研究課題/領域番号 |
22K21137
|
研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
佐山 勇輔 東北大学, 医学系研究科, 助教 (70753127)
|
研究期間 (年度) |
2022-08-31 – 2024-03-31
|
キーワード | COVID-19 / 小児 / 抗体 / コロナウイルス |
研究実績の概要 |
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)では、子供は成人に比べ、SARS-CoV-2に対し感染しにくく、伝播しにくいことが知られている。本研究は、COVID-19流行前後に採取された小児及び成人検体を用い、成人に比べ小児がSARS-CoV-2と近縁なヒトコロナウイルスの感染により誘導された抗体がSARS-CoV-2に対しても交差反応性や中和能を有するかどうかを明らかにすることを目的としている。 2021年度は、各季節性ヒトコロナウイルス及びSARS-CoV-2スパイクタンパク質を抗原としたELISAの適正化及びSARS-CoV-2を用いた中和試験を構築した。構築した方法を用い、フィリピンにてCOVID-19流行以前に採取された小児検体から季節性ヒトコロナウイルスの血清疫学とSARS-CoV-2に対する抗体の反応性と中和能の解析を行った(Sci Rep. 2023 Feb 9;13(1):2310.)。この結果、フィリピンの検体は2-3歳までに季節性ヒトコロナウイルスに対し高い抗体保有率を有し、この抗体陽性率の上昇に伴いSARS-CoV-2に対する抗体陽性率の上昇を示した。SARS-CoV-2に対して反応を示した検体の抗体価は、SARS-CoV-2と同じレセプターを持つヒトコロナウイルスNL63と相関が最も高かった。しかし、ほとんどのSARS-CoV-2陽性検体は、SARS-CoV-2に対して中和能を認めなかった。 現在は、日本で流行前後に採取された小児及び成人検体から季節性コロナウイルス及びSARS-CoV-2の抗体検査(ELISA)を行い、解析を進めている。本研究により、COVID-19の小児における感染伝播や疫学像に関与する要因を明らかにし、今後のCOVID-19に対する公衆衛生対策に資するデータを提供する。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究で実施するELISA及び中和試験の方法を確立した。本方法を用いてフィリピンで採取された小児検体の解析を行い、論文にまとめ発表することが出来た。 現在は、日本で採取された小児及び成人検体を用いて、年齢群での比較などを含めて解析を進めている。
|
今後の研究の推進方策 |
現在、解析を進めている検体から更にSARS-CoV-2に対する中和抗体などを評価する。得られた結果から、COVID-19の小児における感染伝播などに関する要因の解明を試みる。
|
次年度使用額が生じた理由 |
次年度に多くの検体を用いた実験を行うため、今年度分の物品費を含めて使用する。また、本研究で得られた研究結果を学会への旅費及び論文発表の掲載費などへの使用を予定している。
|