研究課題
本研究の目的は院外心停止のデータベースを活用し良好な転帰を得るための因子、治療などを検証する、また機械学習の手法を利活用し、院外心停止患者に対して救命処置の最適なアルゴリズムを開発することである。本研究は2022年度から開始し、総務省消防庁が公開する院外心停止データ、大阪CRITICALデータベースを活用した研究を行っている。本年度には研究体制を構築し、研究協力者と解析について議論を行い、データのマネジメント、データのクリーニングや解析手法について専門家と議論を行い、一部の解析を行った。研究代表者である岡田が以前に報告した機械学習をもちいた院外心停止患者のクラスタリングで得られた結果である、院外心停止のeGFRと予後との関連について、第50回日本集中治療学会年次学術集会で報告を行った。(2023年3月2-4日京都国際会館) また、本発表は、優秀演題賞として表彰を受けた。本解析結果は現在国際原著論文として査読を受けている。さらに、大阪CRITICALデータベースを用いた解析では、機械学習の手法を用いて、初期波形が除細動適応となる若年の院外心停止患者に対する体外式膜型人工肺の潜在的な効果についてシンガポール循環器病学会学術年次集会で発表を行った。(2023年3月25日シンガポール) 本演題は、優秀演題賞として表彰され、また発表者である岡田はYoung Investigator award (3rd prize)に選出され表彰を受けた。本解析結果についても国際原著論文としてまとめ、現在査読を受けている。また膜型人工肺を用いた高度な蘇生戦略の効果について時間依存性交絡を調整したプロペンシティスコアマッチング解析を行った。本結果についても国際原著論文としてまとめ、現在査読中である。
2: おおむね順調に進展している
現在の進捗状況は概ね順調に経過している。本年度は研究開始の年度であり、研究体制の構築、データのクリーニング、解析手法について専門家と議論する、実際の解析を行うなどのプロセスを行った。特に解析用のデータの加工、データの処理、解析のための統計ソフトのコードの準備などを主に行った。また実際の解析についても行った。そのうちの結果をまとめ、2演題の学会発表を今年度には行った。またこれらの発表で優秀演題賞を取得するなど順調な経過と考えられた。
今後の研究の推進方策として、膜型人工肺を用いた高度な蘇生戦略の更なる最適化や院外心停止患者の最適な蘇生について、機械学習の手法などを応用して検証していく。具体的には、どのような患者が膜型人工肺を用いた蘇生に適しているのか、膜型人工肺を用いた蘇生の地域全体に与える影響についての評価、また地域の医療経済に与える影響についても検証していく。また院外心停止患者における予後に関連する因子の探索、予後の予測に関する研究のほか、体温管理療法、薬剤投与、気道確保などの蘇生行為の効果の検証などを引き続き展開していく予定である。
本年度で使用予定であった、英文校正費用、および論文投稿費用などについて次年度に繰越の予定である。これらの予算は論文が完成し次第執行する予定である。また学会参加にかかる旅費については本年度はWeb形式での開催であったため使用しなかった。次年度から現地開催になるので旅費を執行予定である。
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