世界で最も近親者による暴力被害を被るアフリカ人女性にフォーカスし、女性の障害と近親者暴力への曝露におけるメカニズムを明らかにするための研究を行った。利用可能であった2016年の南アフリカ、ウガンダ全土の人口データを利用し、交互作用項を投入したmodified Poisson regression解析を実施した。これは、女性の障害と近親者暴力への曝露の関連を増強する、または減弱する因子を特定することを目的とした解析である。使用したデータはDemographic and Health Surveryと呼ばれ、米国のUnited States Agency for International Developmentが提供する公的なデータベースである。全世界の低中所得国に暮らす人々の健康や栄養に関する膨大な情報を個人レベルで収集しており、国を代表するHousehold Dataとなっている。本データを解析した結果、女性の障害と近親者暴力との関連をネガティブに増強しうる因子として、ウガンダにおいては身体的暴力をアウトカムとした際には夫のアルコール飲酒と夫の教育歴があり、南アフリカにおいてはそうした因子は発見されなかった。この結果から、ウガンダにおいて女性の障害と近親者暴力の関連を断ち切るために、アルコール飲酒がある、または教育歴の低い夫がいる家庭に着目し、それらを修飾する介入を行うことが有効である可能性が示唆される。
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