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2022 年度 実施状況報告書

精密質量データベースによる新規薬物のスクリーニング法の構築

研究課題

研究課題/領域番号 22K21157
研究機関大阪医科薬科大学

研究代表者

片木 宗弘  大阪医科薬科大学, 医学部, 特別職務担当教員(准教授) (40965620)

研究期間 (年度) 2022-08-31 – 2024-03-31
キーワード精密質量データベース / ニタゼン類 / デザイナーベンゾジアゼピン類 / LC/MS / TOF-MS
研究実績の概要

近年、欧米を中心にデザイナーベンゾジアゼピン類及びニタゼン類の乱用が拡大し、我が国でもその乱用が危惧されている。これら薬物は特に摂取量が極微量で、その薬理作用を発現することから、生体試料中の検出が困難であることが予想される。そこで、これらについて、分子式に基づく精密質量データベースを作成し、高分解能質量分析装置を用いて取得した精密質量データに、作成したデータベースを適用することで、ニタゼン類及びデザイナーベンゾジアゼピンの網羅的スクリーニングによる見逃し回避の実現を目指した。
本年度は各薬物及び予想されるその代謝物について、化合物名、示性式及び精密質量をエクセルを用いて入力することでデータベースの作成を進めた。
データベース作成の途中で、ニタゼン類の使用が疑われる解剖検体の分析が必要となったことから、ご遺体から採取した血液と尿について、完成途中ではあるが、作成したニタゼン類の精密質量データベースを元にスクリーニングを行ったところ、ニタゼン類であるメトニタゼン及びその代謝物と推定される化合物が検出され、本件がニタゼン類の乱用による急性中毒死である事が証明できた。ニタゼン類の乱用による本中毒死事例は、欧米以外では初めての報告事例で有り、今後のニタゼン類分析に有効な事例であると考えられるため、Legal Medicine誌にCase Reportとして、投稿し掲載された。このように、本データベースは完成途上であるが、ニタゼン類及びデザイナーベンゾジアゼピン類の生体試料からのスクリーニングに大きく貢献できることが期待できる。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

最近海外だけでなく国内でも、ニタゼン類やデザイナーベンゾジアゼピン類の乱用が報告されだしていたことから、鑑定検査の目的で事前に文献調査を始めていたため、比較的順調にデータベース作成が進み出したが、ニタゼン類に比べデザイナーベンゾジアゼピン類の種類が非常に多いことから、構造式に基づく精密質量の入力にやや手間取った。

今後の研究の推進方策

作成したデータベースの入力間違いやバグ等をチェックした後、ニタゼン類及びデザイナーベンゾジアゼピン類について標準品数種類について、本データベースの有効性を検証する。次に、尿や血液あるいは毛髪等のブランク試料に添加し、作成した模擬生体試料について本データベースを適用し、その有効性を検証する。最終的には、薬物使用が疑われる被解剖者(ご遺体)から採取した生体試料に適用し、薬物使用が疑われる事案の死因究明に利用していく。

次年度使用額が生じた理由

本年度は、コロナ禍での学会開催が多く、オンライン開催が多かったため、旅費が予定より少なかった。
次年度は、尿などの生体試料への適用を目指していることから、生体試料の前処理に必要な器具あるいは分析に必要なカラムや有機溶媒等器具及び消耗品の購入、薬物標準品の購入、さらには現地開催が多くなると思われる学会への参加を計画している。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2023

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件)

  • [雑誌論文] Postmortem examination and toxicological analysis for acute metonitazene intoxication in Japan: A case report2023

    • 著者名/発表者名
      Morioka Fumiya、Fujii Shihoko、Kamata Hiroe、Shima Noriaki、Tsuboi Kento、Katagi Munehiro、Sato Takako
    • 雑誌名

      Legal Medicine

      巻: 61 ページ: 102216~102216

    • DOI

      10.1016/j.legalmed.2023.102216

    • 査読あり

URL: 

公開日: 2023-12-25  

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