研究実績の概要 |
研究計画の重要課題である医療施設における実態調査は調査項目の吟味にとどまり実施に至らなかった。状況を確認するため、近隣の病院でマットレスや枕の管理状況について簡単な聞き取りを行ったが、画一的なものを長年使用している現状があり、調査の必要性を再確認した。質問紙調査については、200床以上の一般病院(精神科を除く)の看護部長を対象に、病院で管理しているベッドのマットレスと頭部枕の種類と数、メンテナンス状況等について調査することを予定している。該当する対象施設は2,000以上あるため、無作為抽出にて発送施設を決定する。今後は調査項目の精錬を行い調査期間内に質問紙を発送し、調査結果を得られるように進めていく。一方で、日本の医療現場におけるマットレスや頭部枕について、現在のような病床の寝具となった理由や経緯について文献で調査を行った。日本には頭部や首を支える寝具として枕は古墳時代から存在していたことが確認されているが、死者に備えるものとして使われていた記録がある。また、日本人は比較的高い枕を使ってきた歴史的背景があり、枕には魂が宿ると考えられてきた観念もあることが明らかとなった。寝具や枕についての歴史的研究は少なく、限られた文献の入手と閲覧に終わったため、さらに文献検索を進めて、海外における寝具の歴史的背景も含めて、なぜ日本の医療施設における寝具が現在のような形になったのかを考察できるよう準備を進めていく。
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