研究課題
本研究では、大腸腫瘍組織を解析して、One-Carbon代謝の2つの発がん機構である、遺伝子の変異とメチル化増加を主原因とするがんに分類する分子サブタイプを同定し、分子サブタイプ別の大腸がんごとに、葉酸、ビタミンB12、ビタミンB6、メチオニンの摂取との関連を分析する。そして、One-Carbon代謝の2つの発がん機構の影響を分けて検討することで、One-Carbon代謝栄養素の摂取と大腸がんの真の関連を解明することを目的としている。昨年度は、コホート研究において収集した約500症例の大腸腫瘍組織において、免疫組織染色により、TP53蛋白の発現と、ターゲットシークエンス解析により、BRAF変異の評価を行い、解析のためのデータを取得した。本年度は、得られたデータを用いて、TP53蛋白発現やBRAF変異有無の基づく大腸がんサブタイプごとに、One-Carbon代謝栄養素の摂取との関連を検討する予定であったが、本研究デザインが適切な結果を導けるか事前検討を行った。具体的には、欧米の研究から、喫煙とKRAS野生型大腸がんとの関連が再現性を持って報告されており、本研究においてもKRAS変異情報のデータを取得していたので、本研究デザインでも喫煙とKRAS野生型大腸がんとの関連が認められるか検討した。本研究では、約半数の症例でKRAS変異が観察され、175症例のKRAS野生型大腸がんと164症例のKRAS変異型大腸がんにおいて、分析した。その結果、KRAS野生型大腸がんのみにおいて、喫煙との有意な関連が認めら、本研究デザインで先行研究と同様の結果が得られた。次年度は本解析として、One-Carbon代謝栄養素である葉酸、ビタミンB12、ビタミンB6、メチオニンの摂取とTP53蛋白発現やBRAF変異有無に基づく大腸がんサブタイプごとの関連を分析する。
4: 遅れている
本年度は、休職期間があったため予定通り、研究を遂行することができなかった。
2年計画を3年計画に延長して、2年目に実施予定であった研究実施計画を3年目に移行し、研究を推進する。コホート研究の食物摂取頻度調査票から推定した、葉酸、ビタミンB6、ビタミンB12、メチオニン摂取量と、同定した分子サブタイプごとの大腸がん罹患リスクとの関連を多変量COX回帰分析により検討する。得られた結果を論文にまとめて、国際誌に投稿する。また学会で成果を発表する予定である。
本年度は休職期間があったため予定通り研究を遂行できず、本年度の研究計画を次年度に移行したため、次年度使用額に計上した。
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Carcinogenesis
巻: 44(6) ページ: 476-484
10.1093/carcin/bgad046