研究実績の概要 |
【初めに】血液培養結果によって治療を最適化することは、患者の利益のみならず、薬剤耐性(AMR)が世界的に大きな問題になっており、抗菌薬の適正仕様に大きく寄与する。本邦での先行研究はいくつか報告があるが、施設数が限られていたり、主に大病院、急性期病院が対象であり、中小病院、療養病院のデータは限られる。また、施設間で血液培養採取率にはかなりのばらつきがあることも知られており、その要因を知る必要がある【方法】地域連携医療推進機構に所属している57病院を対象に2017-2021年の5年間の血液培養のデータと、血液培養採取に関するアンケートを実施した。【結果】35施設が回答し、28万件の血液培養データを収集した。病床の中央値は232床(IQR 172-306)であり、研修病院は60%を占めた。血液培養に関するレクチャーを実施しているのは16施設(45.7%)であった。主な採取者は看護師が多かった(31/35施設、88.6%)。血液培養を採取する際の消毒方法はアルコール23/35(65.7%), ポピドンヨード 16/35(45.7%),、クロルヘキシジン 5/35(14.3%)だった。これらは重複回答可能である。1000延入院患者あたりの血液培養採取セット数は20.2(IQR 9.6-28.7)で血液培養陽性率は15%(12.9-16.7)だった。血液培養に対するレクチャーを実施している施設の方が、血液培養が採取されやすかった(11.8 vs 26.2, p=0.0186)。コンタミネーション率、起こりやすさの因子の解析については今後の課題である。
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