研究課題/領域番号 |
22K21199
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
船橋 大介 筑波大学, 体育系, 研究員 (90963695)
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研究期間 (年度) |
2022-08-31 – 2024-03-31
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キーワード | 身体活動量 / 運動 / 非運動性身体活動 / 運動形態 |
研究実績の概要 |
文明の発展に伴い人々の身体活動は減少し、身体不活動が世界的に深刻な健康問題となっている。身体活動量を増やす最も有効な方略として、運動が挙げられる。しかし、運動は運動時間外の身体活動(NEPA: Non-Exercise Physical Activity)を減少させる可能性も報告されており、不活動を防ぐ方略として運動が真に有効かは不明である。そこで本研究は、運動によるNEPAの減少を抑える運動法を明らかにすることを目的とし、将来的に不活動を防ぐ方略として運動を有効に活用するための基礎的な知見の構築を目指す。 本研究では、運動形態の違い(断続運動 or 持続運動)により運動中の代謝動態や運動時の疲労度が変化する可能性を示した先行知見を踏まえ、運動形態に依存して運動に対するNEPA応答が変化するか検証した。実験には成体雄性C57BL6Jマウスを用い、運動はトレッドミル走を実施した。運動形態はトレッドミルのレーン長を変えることで操作し、30cmを長レーン、15cmを短レーンとした。いずれの条件でも中強度運動(15m/分)を実施したところ、長レーン条件では運動後にマウスのNEPAが減少せず、短レーン条件ではNEPAが減少した。これは、運動形態の違いにより運動に対するNEPAの応答が異なり、持続運動よりも断続運動の方がNEPAが減少しにくい運動形態である可能性を示唆する。今後は、今回実施した運動中の走行軌跡の解析により、各レーン長におけるマウスの運動形態を詳細に特定する。さらに、運動直後に脳や骨格筋、血液をサンプリング、解析することで、今回行った各運動条件の生化学的運動特性を明らかにする。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
初年度は、「運動に対するマウスのNEPAの応答が運動形態の違いにより変化するか」検証することを計画していたが、本検証は無事に完了することができた。また、その結果は仮説と一致するものであり、概ね順調に進行していると考える。
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今後の研究の推進方策 |
運動に対するNEPAの応答は運動形態依存的に変化し、断続運動よりも持続運動の方がNEPAが減少しやすいことが明らかとなった。本知見を踏まえ、まずは運動中の走行軌跡を詳細に解析し、運動形態と運動に対するNEPA応答との関係について検討を進める。さらに、運動直後の脳と骨格筋、血液を解析し、各運動形態の生化学的特性を明らかにする。これにより、運動後にNEPAが減少する生化学的要因について検討する。
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次年度使用額が生じた理由 |
本研究では、マウスの運動時の走行軌跡を解析するために、ビデオカメラや撮影関連機器を新しく購入する予定であったが、代表者が所属する研究室で使用している機器を本研究でも活用できることとなったため、予定よりも必要金額が小さくなった。次年度に繰り越しとなった金額については、マウスの脳組織などの生化学的解析に必要な試薬の購入費用に充てる予定である。これにより、検証可能な分子ターゲットを予定よりも増やすことができるため、本研究の更なる発展に寄与すると考える。
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