超高齢化社会の日本では要介護状態を予防し健康寿命を延伸させることが重要である.研究代表者はこれまでに介護要因の一つである転倒のリスクを1分間の重心動揺データに基づいて身体・感覚系から評価する新しい方法論を提案してきた.しかし評価した転倒のリスクからどのような改善すればよいかの検討が不十分であった.本研究の目的は研究代表者が提案してきた立位年齢などから推定される転倒リスクと生活習慣の関係性を数式モデルで表現することで,個々に異なる効果的な生活習慣の改善法の定量的提示法を確立することである.本研究では生活習慣に関して定量的に収集できる手法についての検討を進めるとともに様々な年代の被験者に対して生活習慣データ収集と立位年齢の計測を行った.収集した生活習慣データを被験者の立位年齢を基準に分析することで生活習慣との関係を解析した.まず生活習慣データを独立変数,立位年齢を従属変数として①重回帰分析によってどのような生活習慣が転倒リスクに影響を与えるかを調査した.このときデータ計測を継続的に行うことで転倒歴あり群,高齢者群や疾患あり群などのデータを拡充させ,データベースを構築した.そして転倒歴あり群,なし群などの2群間における影響度合いの違いを調査するために多重ロジスティク回帰解析を実施した.今後,本研究における手法が確立されることで,生活習慣を続けたときの未来の要介護リスクを推定する予測モデルへの展開が期待できる.
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