研究課題
血液透析は末期腎不全患者の生命維持に必要となる治療法のひとつである。従来の血液透析(以下、従来透析)では、急速に体内から水分を除去するため、血液透析実施中に低血圧症状をきたし、尿毒素除去が不十分となることや、治療終了後に強い疲労感を生じることも少なくない。また血液透析実施日間の体液増加を避けるために、水分や食事摂取の制限が課せられることが多い。この欠点を補うため、近年長時間血液透析(以下、長時間透析)という治療法が注目されている。従来透析では1回あたり4 時間程度実施することが一般的である。一方、長時間透析は1回あたり6-8 時間程度の時間をかけ実施される。従来透析に比べ治療時間が長いため、臥床時間が長くなり身体活動量が低下し、結果的に身体機能低下が生じやすいのではないか、という通説がある。しかし、これを明らかにした研究は未だなく、むしろ長時間透析ではより緩徐な水分除去と十分な尿毒素除去が可能となるため、透析実施中の低血圧は起こりにくく、終了後の疲労感は少なくなることで、透析時間以外の身体活動量は従来透析に比べ多いのではないかという仮説を立てている。また、食事制限を大幅に緩和できるという特徴もあり、骨格筋の萎縮予防などにも効果的である可能性がある。そこで、本研究では長時間透析を受けている末期腎不全患者において、身体機能、身体活動量および生きがい感を調査し、その実態を明らかにする。2022年度に透析施設にてデータ測定を実施した50名に加え、2023年度は58名のデータ測定を実施し、合計108名のデータ収集を終了している。
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