研究課題/領域番号 |
22K21213
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研究機関 | 埼玉医科大学 |
研究代表者 |
清水 夏生 埼玉医科大学, 保健医療学部, 助教 (90966566)
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研究期間 (年度) |
2022-08-31 – 2024-03-31
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キーワード | 座位行動 / 要介護高齢者 / 行動の決定要因 / 質問紙 / 妥当性 |
研究実績の概要 |
本研究は要介護高齢者における長時間連続する座位行動の決定要因を能力・機会・動機の観点から網羅的に評価するための質問紙開発と妥当性の検証を目的として開始した。 国際的に使用可能な質問紙を開発するために、英語版で79項目からなる原案を作成した後、ダブルトランスレーションによって日本語版の原案を作成した。この際、要介護高齢者へのインタビューによる質的な分析から、「なぜ長時間の座位行動をとるのか」を問うよりも、「長時間座位の回避行動をとるために何が促進要因と阻害要因になるのか」を評価できる質問紙の方が臨床での利用可能性が高まるものと考えられた。評価結果をより直接的に行動変容介入に結びつけることが出来るようにするために、当初予定していた「長時間座位行動の決定要因」に関する質問ではなく、「長時間座位の回避行動」に関する促進要因と阻害要因を問う質問内容に変更した。 現在は、要介護高齢者の座位行動あるいは行動変容に見識のある専門家によって原案の表面的妥当性および内容的妥当性の検証を実施している。具体的には複数の専門家による各評価項目の内容的妥当性について評価を意見が収束するまで反復し、項目の絞り込みを行っている。この工程は80%完了しており、2023年5月までに完了する見込みである。 今後、要介護高齢者を対象に試作版の質問紙への回答を依頼し、得られたデータを用いて質問紙の構成概念妥当性の検証を行うとともに、身体活動量計で測定した座位行動時間との併存的妥当性の検証を実施し、質問紙を完成させる。 また、当初データ収集を行う施設を4施設としていたが、現在は12施設でのデータ収集の準備を進めている。本研究の趣旨と質問紙の概要を伝達するとともに、身体活動量計の使用方法や管理方法についての周知が完了した。今後は各施設の研究開始手続きが完了次第、データ収集を開始する見込みである。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
要介護高齢者の座位行動を対象とした行動の決定要因に関する質問紙に関する情報は極めて少なく、原案作成時の項目内容の吟味とダブルバックトランスレーション時の翻訳内容の検討・修正に想定以上の時間を要したことによって、計画よりもやや遅れている。ただし、現時点ではこれらの課題は解決しており、協力機関が当初から3倍に増加しているため、より迅速なデータ収集が期待できる。協力機関との連携を強化し、円滑にデータ収集ができるように準備を進めている。
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今後の研究の推進方策 |
今後、各施設でデータ収集を開始するための手続きをすべて完了させ、円滑にデータ収集が出来るように質問紙の試作版と基本属性に関するデータ収集用の調査票を配布する。また、既に一部の機関には配置済みであるが、必要に応じて身体活動量計の配置を速やかに行う。 多施設でのデータ収集であるため、安定したデータ収集を可能にするために多くの配慮が必要となる。データ収集中のQ and Aの施設間共有と個別相談窓口を設置し、適切な測定が出来るように環境整備を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
2月に実施したダブルバックトランスレーションの費用を10万円程度と見積もっていたが、翻訳過程をチェックすることで翻訳精度を高めるために、通常の工程とは異なる方法で依頼した。そのため、費用が10万円以上となり、翻訳業者と相談して次年度に一括で支払する方法をとることになったため、約10万円を次年度使用額にすることとした。
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