本研究の目的は鉄吸収に影響を与える遺伝要因と体内の鉄状態・持久系パフォーマンスとの関連を明らかにすることであった。 まず、ヘプシジン産生や機能に関与する包括的な遺伝型スコアと腸管での鉄吸収との関連について検討したところ、ヘプシジン濃度が高いと推定される遺伝型スコアを持つ男性競技者では鉄状態が高く、低いと推定される遺伝型スコアでは鉄状態も低いという関連が認められた。次に、遺伝型スコアと鉄吸収能との関連を検討し、一般成人では有意性はないものの遺伝型スコアが高いほど鉄吸収能は低値を示すことが確認された。また、日本人長距離選手を対象に遺伝型スコアと競技力との関連を検討したが有意な関連は認められなかった。
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