研究課題/領域番号 |
22K21247
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研究機関 | 目白大学 |
研究代表者 |
藤森 禎子 目白大学, 保健医療学部, 助教 (00963381)
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研究期間 (年度) |
2022-08-31 – 2025-03-31
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キーワード | 半側空間無視 / VR / 評価 / 訓練 / リハビリテーション |
研究実績の概要 |
2023年度における研究の成果としては、前年度までに開発を終えていたバーチャルリアリティー(以下、VR)技術を用いた半側空間無視(以下、USN)を評価するための評価ツールを用いて、非臨床群と臨床群を対象にした信頼性と妥当性、有用性に関する研究を実施した。開発したVR評価は、線分二等分課題と探索課題の2種類より構成した。臨床群を対象にした再テスト法による信頼性の検討の結果、線分二等分課題の近距離に提示される刺激では信頼性が示されたが、線分二等分課題の遠方に提示される刺激や探索課題では十分な信頼性を示すには至らなかった。一方で、従来の机上評価と類似する課題を用いた基準関連妥当性に関する分析では、BIT線分二等分試験の一部の課題やBells testとの間で相関が示された。また、VR評価の結果とUSN症状との分析や非臨床群との比較から構成概念妥当性を検証すると、線分二等分課題では机上評価において非臨床群と有意差がなかった症例を含む研究に参加した全例がVR評価では右偏位の所見を示したほか、従来の机上評価では左右の空間に対する反応時間を測定できなかったが、探索課題において左空間の平均反応時間の延長が示された。これらのことから、机上評価では症状を検出されなかった症例においてもVR評価により症状が検出されうることが示唆され、評価としての可能性が期待された。また、課題中の非臨床群の行動を分析できることから、リハビリテーションプログラムの立案につながる可能性が考えられた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
半側空間無視に対するバーチャルリアリティー技術を用いた評価ツールの開発を終え、非臨床群、臨床群に対する評価の信頼性と妥当性などを検証する研究を実施することができた。また、その成果を論文や国際会議にて発表するに至った。
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今後の研究の推進方策 |
これまでに得られた成果をもとにしながら、半側空間無視者の行動の分析を行い、VR評価により得られる半側空間無視者の特徴的な行動の分析を進める。これにより、行動分析を行うことの意義や訓練への活用の可能性を探る予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
これまでの期間は、VR評価の開発やデータ収集に注力しており、VR評価の意義を高め、臨床での活用を目指すためには収集したデータを活用した分析や成果の報告などを継続していく必要から次年度使用額が生じることとなった。次年度では、これまでに得られた成果を活かしつつ、バーチャルリアリティー技術を用いた評価の意義や有用性を高めるための成果発表などに充てる予定である。具体的には、現在行っている半側空間無視者の行動分析をさらに深め、必要に応じて追加研究をしつつ、その成果を論文などで発表する際などに使用する。
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