研究課題/領域番号 |
22K21253
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研究機関 | 中京大学 |
研究代表者 |
小泉 潤 中京大学, スポーツ科学研究科, 実験実習助手 (80945361)
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研究期間 (年度) |
2022-08-31 – 2024-03-31
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キーワード | 呼吸筋 / 補助吸息筋 / トレーニング / ウォームアップ / 吸息筋力 / 高強度運動 / 最大吸気口腔内圧 |
研究実績の概要 |
高強度運動では、換気量の増加に伴い横隔膜のみならず胸鎖乳突筋といった補助吸息筋の活動および代謝需要が高まる。補助吸息筋の活動は、吸気抵抗の負荷が大きくなるほと活発になる。したがって、高負荷の吸気抵抗を与える呼吸筋ウォームアップに着目し研究を行った。 本年度においては、まず研究1として、呼吸筋ウォームアップの強度の違いが補助吸息筋の神経筋活動および吸息筋力に与える影響を検討した。健康な成人男性11名を対象に、2条件の異なる強度の吸気抵抗を与える呼吸筋ウォームアップを行わせ、補助吸息筋の神経筋活動および最大吸気口腔内圧(MIP)に及ぼす影響を検討した。3条件は、①高強度条件(80%MIP)、②中強度条件(40%MIP)、③コントロール条件(15%MIP)であった。呼吸筋ウォームアップ中の補助吸息筋の神経筋活動レベルは、高強度条件が中強度条件とコントロール条件と比較し有意に高い値を示した。また、呼吸筋ウォームアップ中の補助吸息筋の神経筋活動レベルとMIPの変化率との間に有意な正の相関があり、呼吸筋ウォームアップ中の補助吸息筋の神経筋活動レベルが高いほど、吸息筋力を増加させることが示唆された。 次に研究2として高強度の呼吸筋ウォームアップが高強度運動パフォーマンスに与える影響を検討した。最大酸素摂取量の100%強度で疲労困憊まで行う自転車運動を、①高強度吸息筋ウォームアップ条件、②コントロール条件で実施し、運動継続時間、筋の酸素動態を比較検討した。運動継続時間は、高強度呼吸筋ウォームアップ条件がコントロール条件と比較し有意に高い値を示した。また、運動中の外側広筋の総ヘモグロビン量は、高強度ウォームアップ条件がコントロール条件よりも有意に高い値を示した。以上のことから、高強度の呼吸筋ウォームアップは、活動肢の酸素動態を改善し高強度運動パフォーマンスを向上させることが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究課題1、「競技特性を考慮した呼吸筋ウォームアップの有用性の検討」については実験を遂行し、関連する1つの論文が国際誌にアクセプトされた。 研究課題2については、予備実験を進めている段階である。
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今後の研究の推進方策 |
当初の研究計画通り、研究課題2に設定した「競技特性を考慮した呼吸筋トレーニングの有用性の検討」に関する実験を推し進める予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
次年度使用額が生じた理由として、当該年度に購入を予定していた物品費に変更があったこと、呼吸筋トレーニングデバイスの納期が遅れたことが挙げられる。繰り越した金額については、次年度の物品購入および呼吸筋トレーニングデバイスの購入費用として使用する予定である。
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