本研究課題の目的は、発育期の子どもにおける神経系機能と筋の形態的特性の発達過程を併せて評価し、疾走能力の発達過程との関連について調査することで、疾走能力の発達に寄与すると考えられている神経と筋の要因の貢献度について明らかにしていくものであった。 本年度は昨年度に収集したデータの解析ととりまとめを行い、学会にて一部の成果報告を行うことができた。2023年10月に行われた日本トレーニング科学会大会においては、小学生、中学生、高校生の各年代における走能力の規定因子について、身長や脚長などの形態的特性と筋力特性との貢献度が変化していく可能性について報告した。これによって、発育発達段階に応じてトレーニングのターゲットが異なる可能性について指摘し、現在の学習指導要領や子どもの運動指針に対して新たな提言を行っている。 また神経系機能の特徴についても並行して解析を進めており、結果を取りまとめている段階である。筋の形態的特徴や神経系機能の内容については、2024年6月に行われる国際電気整理学会(International Society of Electrophysiology and Kinesiology)において学会発表の演題登録を行っており、成果報告を行う予定である。 最終年度内に学術誌への論文投稿を行うことができなかったため、現在原稿の執筆作業に着手しているところである。今後は、速やかに投稿作業を完了し成果報告に取り組んでいくとともに、より発展的な課題に取り組んでいきたい。具体的には本研究で加味することのできなかった成熟度の観点に着目し、早熟型、中間型、晩熟型のタイプに応じた、神経筋・走能力の発達過程について調査を進めていきたいと考えている。
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